雪沓ゆきぐつ)” の例文
みちももうそんなにけはしくはありませんでしたし雪もすこし薄くなったやうでした。それでも二人の雪沓ゆきぐつは早くも一寸も埋まりました。
ひかりの素足 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
みのだとか雪沓ゆきぐつだとか、背中当せなあてとか背負袋とか、そういう民具に立派な手の技を示します。集めたら心をそそる陳列となるでありましょう。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
古い風呂敷で頭をネッカチーフのように包み、小さなリュックサックを背負い、もんぺに雪沓ゆきぐつをはいている、りつ子であった。
おごそかな渇き (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
この仕事が早いとともに純真なものだったら! 雪がふかいときは人々は鉄の馬に雪沓ゆきぐつをはかせ、巨大なすきで山から海沿いにかけてうねをつくり
吹雪の小やみに、時々、青い月かと思うような空明りがす。犬のように、宿場端れをのそのそと雪沓ゆきぐつで踏んで来ると
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
病室の片側には綱を掛けて陸中りくちゅう小坂おさかの木同より送り来し雪沓ゆきぐつ十種ばかりそのほかかんじきみの帽子など掛け並べ
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
「あんた等に貸したその雪沓ゆきぐつは、脱いだらそのまゝ旅館へ預けて置いて下せえ。わしらもどうせ、五月八日の赤城さまのお祭りには大洞へ上りますだから」
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
としふゆ雪沓ゆきぐつ穿いて、吉備国きびのくにから出雲国いずものくにへの、国境くにざかい険路けんろえる。またとしなつにはくような日光びつつ阿蘇山あそざん奥深おくふかくくぐりりてぞく巣窟そうくつをさぐる。
若者は、宵の口から、藁製の雪沓ゆきぐつ穿き、その下にかつちき(かんじきの義)を著けて湖上へ出かける。綿入を何枚も重ねた上に厚い袢纏はんてんを纏ふのであるから、体は所謂着ぶくれになる。
諏訪湖畔冬の生活 (新字旧仮名) / 島木赤彦(著)
雪沓ゆきぐつなどを取り騒いで買い込んでいる人たちを後にひとりでまた外に出てしまった。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
珠運しゅうん梅干渋茶に夢をぬぐい、朝はん平常ふだんよりうまく食いてどろを踏まぬ雪沓ゆきぐつかろく、飄々ひょうひょう立出たちいでしが、折角わがこころざしを彫りしくし与えざるも残念、家は宿のおやじききて街道のかたえわずか折り曲りたる所と知れば
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
山人やまびと雪沓ゆきぐつはいて杖ついて
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
雪の道は凍っていてぬかるみはない、空もようを慥かめたさわは、被布ひふをはおって頭巾ずきんをかぶり、雪沓ゆきぐつをはいてでかけた。
榎物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
同じ荒物屋で売る品で感心するのはがまで編んだ雪沓ゆきぐつで、男のは白いフランネルで女のは赤いのでふちを取ります。編み方が丁寧で形にひんがあります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
「しょうがねえでさあ。あんな雪沓ゆきぐつなら何処にだってありまさあね。」とN老人。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
四郎とかん子とは小さな雪沓ゆきぐつをはいてキックキックキック、野原に出ました。
雪渡り (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
かれらはまた眼を見交わし、ぐずぐずとみのをぬいで、はいって来た。二人とも泥だらけの雪沓ゆきぐつをはいていた。
会津の山々は雪の多いところとて、わらで出来た雪踏ゆきぶみ雪沓ゆきぐつや、曲木まげきかんじきや形の面白いのを見かけますが、かかる品を求めるには一番山奥の檜枝岐ひのえまたを訪ねるにくはありません。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
四郎とかん子とは小さな雪沓ゆきぐつをはいてキックキックキック、野原に出ました。
雪渡り (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
彼女たちは雪沓ゆきぐつをぬいで、腰掛の上に坐り、甲斐に給仕しながら、自分たちも飲みはじめた。彼女たちが飲むのは、酒を好むからではなく、話しのすべりをよくするためのようであった。
四郎とかん子はそこで小さな雪沓ゆきぐつをはいてお餅をかついで外に出ました。
雪渡り (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
四郎とかん子はそこで小さな雪沓ゆきぐつをはいてお餅をかついで外に出ました。
雪渡り (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)