雑草ざっそう)” の例文
旧字:雜草
は、なだらかな斜面しゃめんって、した雑草ざっそうがしげり雑草ざっそうにまじって、むらさきいろはないていました。しゅんらんかもしれません。
しらかばの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すがすがしい気分で、急にのびてきた雑草ざっそうを分けて原っぱのまん中をいく二人は、みなさんよくごぞんじの東助とヒトミだった。
ふしぎ国探検 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして、じぶんはにわのすみっこで、雑草ざっそうや、いばらのなかに、ころがされていました。金紙きんがみの星はまだあたまのてっぺんについていました。
耕地整理こうちせいりになっているところがやっぱり旱害かんがいいねほとんど仕付しつからなかったらしく赤いみじかい雑草ざっそうえておまけに一ぱいにひびわれていた。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
このようながけや岩には、いちめんに雑草ざっそうえていて、つるや木の枝がまつわりついています。
翌日小金井のいもばたけへ連れて行くと、つるが三尺ぐらいに延びていた。そんな時期であったのである。手伝わせると、教育されたように秩序ちつじょ正しく雑草ざっそうをとる。親より上手だ。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
わたしはいばらや、雑草ざっそうのやぶの中にころがって、二足ごとにひっかかれた。
町立病院ちょうりつびょういんにわうち牛蒡ごぼう蕁草いらぐさ野麻のあさなどのむらがしげってるあたりに、ささやかなる別室べっしつの一むねがある。屋根やねのブリキいたびて、烟突えんとつなかばこわれ、玄関げんかん階段かいだん紛堊しっくいがれて、ちて、雑草ざっそうさえのびのびと。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
まち雑草ざっそう
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひかりはかげって、雑草ざっそうはなうえくらくなりました。ちょうや、はちは、はやくも、どこかへ姿すがたかくしてしまいました。
曠野 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もっともその土間には、少年の背がかくれるほどのたけの長い雑草ざっそうがおいしげっていて、荒涼こうりょうたる光景をていしていた。
骸骨館 (新字新仮名) / 海野十三(著)
雑草ざっそうあいだに、一りん紫色むらさきいろ野菊のぎくいていたが、そのきよらかなで、これを見守みまもっているようにおもわれました。
野菊の花 (新字新仮名) / 小川未明(著)
崖下の道の、崖と反対の方は、雑草ざっそうのはえしげった低いつつみが下の方へおちこんでいて、その向うに、まっ黒にこげた枕木まくらぎ利用のかきがある。その中にはレールがあって、汽車が走っている。
透明猫 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まえには、いろいろの雑草ざっそうはなが、はげしい日光にっこうびながらいて、ちょうや、はちがあつまっているのがながめられましたけれど、ここだけは、まったくかげって
曠野 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、その深林しんりんは、にとって、あまりこのましくなかった。なつにでもなれば、そこにはいろいろの毒草どくそうや、雑草ざっそうはないたであろうけれど、この時分じぶんには、まだはなすくなかったからです。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)