雀躍こおど)” の例文
雀躍こおどりをしたいような、そこらじゅうを無茶苦茶に馳けてみたいような、大地の上をごろごろ転げ𢌞りたいような気持を起させるのでした。
(新字新仮名) / ギ・ド・モーパッサン(著)
大隅は雀躍こおどりして喜んだ。いよいよ問題の解ける機会が来た。佐々砲弾が出てくれるなら、よもや話の分らぬことはあるまい。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まさにこれ、何かのひき合せと、戴宗たいそう雀躍こおどりしたいばかりだった。なお仔細しさいに道をたずね、老人には厚く謝して、いちど旅籠はたごへひっかえした。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
僕は名状しがたいうれしさに雀躍こおどりしながら、壁飾りに掛けてあるアメリカ・インデアンの鳥の羽根のついた冠りをり、インデアン・ガウンを羽織って
吊籠と月光と (新字新仮名) / 牧野信一(著)
が、劇しい努力の結果として会心の解決が彼を突然雀躍こおどりさせた。身体がいつぺんに軽くなつた思ひがした。そこで彼は大急ぎで小僧を呼び入れたのだ。
村のひと騒ぎ (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
れた牝鶏めんどり程度に扱っていた。今日は、対等だ。見上げたもんだ。彼は雀躍こおどりする。なかなか面白くなってきた。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
打合せてあった通り石子刑事は茫然ぼんやり待っていた。渡辺が成功した事を伝えると、彼は雀躍こおどりして喜んだ。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
彼女は、雀躍こおどりするように、からだを動かしながら笑った。ヒステリックに、いつまでも笑いつづけた。
第二の接吻 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
しかし、レヴェズの気管を強圧した二つの拇指痕ぼしこんは、この場合、熊城に雀躍こおどりさせたほどの獲物だった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
源治は雀躍こおどりした。十六と言えば武三よりも一つ年が若いが、使つているうちに直きに一人前働けるようになる。そんな子供ならば、他にそんなに頼み手もあるまい。
押しかけ女房 (新字新仮名) / 伊藤永之介(著)
いずれも濡れ米だが、乾立てたら、一人宛に三石ずつもある勘定で、これこそは命の法楽と、雀躍こおどりして喜び、とりあえず浜へ積みおろし、そこから岩穴の口に運んだ。
藤九郎の島 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
ブラウン氏は心中に雀躍こおどりした。この時から、「長い黒の外套」が秘かに捜査の焦点となったのだが、この「外套がいとう」は、ライオンスによれば米国なまりの口をくという。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
「ならんとも、ならんとも、ならんとも、けっしてなりはせん!……」この際、これ以上嬉しいことばを聞くことはできないもののように、老人は雀躍こおどりせんばかりに喜んだ。
とうを巻いた、使い古しの剃刀を受取ると、平次は雀躍こおどりしたい心持になるのでした。
高橋氏にも依頼したり、白井へも発信して平ヶ岳の案内者を雇い入れてもらう事にしておいた、折しもその辺の五万分一仮製図が刊行されたから、雀躍こおどりせんばかりにして出発した
平ヶ岳登攀記 (新字新仮名) / 高頭仁兵衛(著)
九十郎が田沼方を追われ、江戸から去ったと伝聞するや、範之丞兄妹は雀躍こおどりした。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それから私は、少し大きくなってから、いなごを餌にして、長い竿でぶっ込み釣りで、秋のはやを釣ることを習った。ある夕、一尺前後のはやを十尾以上も釣って、雀躍こおどりしたのを記憶している。
ザザ虫の佃煮 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
雀躍こおどりせんばかりの彼の態度がせなかった。
軍国歌謡集 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
 雀躍こおどりして喜んだ。
中村仲蔵 (新字新仮名) / 山中貞雄(著)
「ううん、美事な命中率だ。素晴らしいぞ、照準手!」船長は紅蓮ぐれんうずを巻いて湧きあがる地上を見て、雀躍こおどりせんばかりに、喜んだのだった。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
往来の旅人も、この少年が、なにをそんなに狂喜するのかと、眼をそばだてて不審いぶかるほど、彼の足は雀躍こおどりしていた。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「素敵! 素敵!」美和子は、雀躍こおどりして演芸場からは近い、ホテルのグリルへ駈けつけりた。
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
つづいて萩丸も雀躍こおどりするように、その家の中へ駈け込んだが、それと同時に他の二軒の家から、数人の男が走り出て来て、その家の窓際と門口とへ近寄り、外から窓を閉じ門口の戸をとじた。
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
八五郎は雀躍こおどりしました。秘密の緒口いとぐちはここからほぐれて来そうです。
私はすっかり計画が当ったのに雀躍こおどりしながら、さりげなく蟇口を棄てたところに近付いてみますと、其の蟇口は側のみぞの中に転って居ました。
三角形の恐怖 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「天われにくみす」と、西涼軍は、雀躍こおどりして、城内へなだれこんだ。それはまるで、堤を切った濁流のようだった。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、命助けられる嬉しさに、雀躍こおどりしながら三十郎は云った。
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「えッ、行って下さる。まア嬉しいわ」夫人は少女のように雀躍こおどりしてよろこんだ。「そこに自動車が待たせてありますの、さあ、早く行きましょう」
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
男は生命びろいしたと、雀躍こおどりして、高定の陣へ帰ってきた。待ちかねていた高定が、「首尾は如何に?」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
東条数馬はうれしさの余り雪中で雀躍こおどりするのであった。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
兄弟は、雀躍こおどりせんばかりよろこんで、やがて、頼朝の密使、藤九郎盛長を導いて来た。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
桂子は雀躍こおどりしてまた叫んだ。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
生命いのちびろいした山伏は、勝三郎の手から解かれると、雀躍こおどりしないばかりだった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、雀躍こおどりして呼ばわった。
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
初陣ういじんの若者が大将の首でもったように、雀躍こおどりして持ち込んで来た物がある。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、雀躍こおどりして来た若者があった。高氏の実弟、ことし十七の直義ただよしなのだ。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで、この少年は、雀躍こおどりの羽をひろげ、彼方へ駈けて行ったと思うと
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
覚明は、雀躍こおどりして、やがて綽空の前にひざまずいた。綽空は、叱った。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふたりは、雀躍こおどりして、介三郎のところへ告げに来た。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しめた! と眼八は、腹の中で雀躍こおどりしていた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
雀躍こおどりせんばかりに福知山の城下へ急いだ。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
西仏などは、子どものように、雀躍こおどりして
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こういわれたのには、雀躍こおどりをした釘勘
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、雀躍こおどりせんばかりくるくる廻った。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、彼が雀躍こおどりしたのもむりはない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、雀躍こおどりしてさけんだ。
(新字新仮名) / 吉川英治(著)
蔵太は、雀躍こおどりして
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
関興は、雀躍こおどりして
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
張飛は雀躍こおどりして
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊織は雀躍こおどりして
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)