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かどづけ
ふりがな文庫
“
門附
(
かどづけ
)” の例文
二年三年とたつ
中
(
うち
)
に瞽女は立派な専門の
門附
(
かどづけ
)
になって「春雨」や「梅にも春」などを弾き出したがする
中
(
うち
)
いつか姿を見せなくなった。
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「ああ、山国の
門附
(
かどづけ
)
芸人、誇れば、魔法つかいと言いたいが、いかな、さまでの事もない。
昨日
(
きのう
)
から御目に掛けた、あれは手品じゃ。」
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尚中國地方などでは座に屬さずに路傍で一人遣ひの單純な操を演じて廻る
門附
(
かどづけ
)
の人形操の獨立した一團が相當に存在してゐる。
淡路人形座訪問:其の現状と由来
(旧字旧仮名)
/
竹内勝太郎
(著)
「また僕に
紙腔琴
(
シャルマンカ
)
が何になるんです? 僕は、あんなものを肩にかけて
門附
(
かどづけ
)
をして歩くドイツ人とは違いますからねえ。」
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
八年
前
(
まえ
)
大学を卒業してから
田舎
(
いなか
)
の中学を二三
箇所
(
かしょ
)
流して歩いた末、去年の春
飄然
(
ひょうぜん
)
と東京へ戻って来た。流すとは
門附
(
かどづけ
)
に用いる言葉で飄然とは
徂徠
(
そらい
)
に
拘
(
かか
)
わらぬ意味とも取れる。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
逗留客が散歩に出る。
芸妓
(
げいしゃ
)
が湯にゆく。白い鳩が
餌
(
え
)
をあさる。黒い燕が
往来
(
おうらい
)
中
(
なか
)
で宙返りを打つ。夜になると、蛙が鳴く。
梟
(
ふくろう
)
が鳴く。
門附
(
かどづけ
)
の芸人が来る。
碓氷川
(
うすいがわ
)
の
河鹿
(
かじか
)
はまだ鳴かない。
磯部の若葉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
父が尺八の師であった青梅
鈴法寺
(
れいほうじ
)
の高橋空山が、ふと
門附
(
かどづけ
)
に来て吹いた「竹調べ」が、ついにわが父をして
短笛
(
たんてき
)
というものに、浮身をやつすほどのあこがれを持たしめてしまったことです。
大菩薩峠:26 めいろの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あゝ、
山国
(
やまぐに
)
の
門附
(
かどづけ
)
芸人、誇れば、魔法つかひと言ひたいが、いかな、
然
(
さ
)
までの事もない。
昨日
(
きのう
)
から
御目
(
おめ
)
に掛けた、あれは手品ぢや。」
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
物貰い
門附
(
かどづけ
)
幾人などと記してあったが、これ等は町の角や、カフエーの前の樹の下などに立たずんで人を待っている間に鉛筆を
走
(
はしら
)
したものである。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それから甲州街道の宿々を、弁信法師は平家をうたって
門附
(
かどづけ
)
をして歩きます。
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
父娘
(
おやこ
)
は
唯
(
ただ
)
、紫玉の
挙動
(
ふるまい
)
にのみ気を
奪
(
と
)
られて居たらう。……此の辺を
歩行
(
ある
)
く
門附
(
かどづけ
)
見たいなもの、と又訊けば、父親がつひぞ見掛けた事はない。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
雨はいつか
歇
(
や
)
んで、両側とも待合つづきの一本道には
往来
(
ゆきき
)
する
足駄
(
あしだ
)
の音もやや繁くなり、遠い
曲角
(
まがりかど
)
の方でバイオリンを弾く
門附
(
かどづけ
)
の流行唄が聞え出した。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そぞろに
門附
(
かどづけ
)
を怪しんで、
冥土
(
めいど
)
の
使
(
つかい
)
のように感じた如きは幾分か心が乱れている。
意気張
(
いきばり
)
ずくで死んで見せように到っては、
益々
(
ますます
)
悩乱
(
のうらん
)
のほどが思い
遣
(
や
)
られる。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おいら達の仲間入をして
門附
(
かどづけ
)
になろうッて言うのか。
渡鳥いつかへる:軽演劇一幕四場
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
墨染の麻の
法衣
(
ころも
)
の
破
(
や
)
れ破れな
形
(
なり
)
で、
鬱金
(
うこん
)
ももう鼠に汚れた布に——すぐ、分ったが、——三味線を一
挺
(
ちょう
)
、
盲目
(
めくら
)
の
琵琶
(
びわ
)
背負
(
じょい
)
に
背負
(
しょ
)
っている、
漂泊
(
さすら
)
う
門附
(
かどづけ
)
の
類
(
たぐい
)
であろう。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
福井 おらアもう
門附
(
かどづけ
)
もいやになった。
渡鳥いつかへる:軽演劇一幕四場
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
墨染
(
すみぞめ
)
の
麻
(
あさ
)
の
法衣
(
ころも
)
の
破
(
や
)
れ/\な
形
(
なり
)
で、
鬱金
(
うこん
)
も
最
(
も
)
う
鼠
(
ねずみ
)
に
汚
(
よご
)
れた布に——すぐ、分つたが、——
三味線
(
しゃみせん
)
を一
挺
(
ちょう
)
、
盲目
(
めくら
)
の
琵琶背負
(
びわじょい
)
に
背負
(
しょ
)
つて居る、
漂泊
(
さすら
)
ふ
門附
(
かどづけ
)
の
類
(
たぐい
)
であらう。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
段へ、
裾
(
すそ
)
を投げ出して、
欄干
(
らんかん
)
につかまった時、雨がさっと暗くなって、私はひとりで泣いたんです。それッきり、声も聞えなくなって、
門附
(
かどづけ
)
は
何処
(
どこ
)
へ参りましたか。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
……案ずるに我が家の
門附
(
かどづけ
)
を
聞徳
(
ききどく
)
に、いざ、その段になった処で、
件
(
くだん
)
の(出ないぜ。)を
極
(
き
)
めてこまそ心積りを、
唐突
(
だしぬけ
)
に頬被を
突込
(
つッこ
)
まれて、大分
狼狽
(
うろた
)
えたものらしい。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
また一面から見れば、
門附
(
かどづけ
)
が
談話
(
はなし
)
の中に、
神田辺
(
かんだへん
)
の店で、
江戸紫
(
えどむらさき
)
の夜あけがた、小僧が
門
(
かど
)
を
掃
(
は
)
いている、
納豆
(
なっとう
)
の声がした……のは、その人が生涯の
東雲頃
(
しののめごろ
)
であったかも知れぬ。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
縁日
稼
(
かせぎ
)
の
門附
(
かどづけ
)
も利かない気で、へべれけの愛吉が意にさからい、
価
(
あたい
)
を払わなければ
術
(
わざ
)
は見せぬ、お
銭
(
あし
)
がなくっていて、それでたって
凄
(
すご
)
い処を聞きたいなら、
前
(
さき
)
に立って
提灯
(
ちょうちん
)
は持たずとも
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
門
常用漢字
小2
部首:⾨
8画
附
常用漢字
中学
部首:⾩
8画
“門附”で始まる語句
門附振売