かぎ)” の例文
我はフェデリーゴの心のかぎを二ながら持てる者なりき、我これをめぐらして或ひは閉ぢ或ひは開きそのわざ巧みなりければ 五八—六〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
よびつかはしたり必らず/\心配しんぱいするに及ばず早々此所ここあふべきかぎを持參して此錠前このぢやうまへあけよと申されしかば漸々やう/\吉五郎はホツと太息といき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
故に陰府よみと死とのかぎ(秘密)を握り今ある所の事(今世の事)と後ある所の事(来世の事)とを知り給う(同十八、十九節)
米国造船能力の消長にあるのを思ふと独逸膺懲ようちようかぎは、とりも直さず、四十年ぜんの煙草屋の小僧の垢染あかじんだ掌面に握られてゐる次第なのだ。
夫人は驚いてかごに乗ってゆき、かぎけて亭に入った。小翠ははしっていって迎えた。夫人は小翠の手をって涙を流し、つとめて前のあやまちを謝した。
小翠 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
純金色じゆんきんしよく薔薇ばらの花、理想りさう寶函たからばこともいふべき純金色じゆんきんしよく薔薇ばらの花、おまへのおなかかぎをおくれ、僞善ぎぜんの花よ、無言むごんの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
うちの者はわたしを見ても知らん振りして書斎に入るとかぎを掛け、まるで鶏鴨とりがものように扱われているが、このことはどうしてもわたしの腑に落ちない。
狂人日記 (新字新仮名) / 魯迅(著)
その秘宮には各人之にかぎして容易に人をちかづかしめず、その第一の宮に於て人は其処世の道を講じ、其希望、其生命の表白をなせど、第二の秘宮は常に沈冥にして無言
各人心宮内の秘宮 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
しかも扉のかぎは元のままになっているので、すこぶる不思議に思ったが、ともかくも引っ返してその事を報告すると、中丞は大いに立腹して彼にそのつぐないをしろと責めた。
貫一はこの秘密のかぎを獲んとして、左往右返とさまかうさまに暗中摸索もさくおもひを費すなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
こんな詰まらぬ法螺談ほらばなしも、盗跖とうせきあめを以てかぎを開くの例で、随分有益な参考になるというのは、昨今中央政府の遣り方の無鉄砲に倣い、府県きそうて無用の事業を起し、無用の官吏を置くに随い
らすかぎを得むとか。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
我等の主かぎを聖ピエートロに委ぬるにあたりて幾許いくばく財寶たからを彼に求めしや、げにその求めしものは我に從への外あらざりき 九一—九三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
つきヤレ/\有難き仰せ畏まり奉つると蘇生よみがへりたる心地こゝちにて直樣すぐさま馳歸はせかへり多くのかぎを持參なし種々いろ/\あはせ見て具足櫃ぐそくびつ錠前ぢやうまへあけけるとなり此事錠前を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
部屋の入口をあらためると、扉のかぎは元のままで、誰も出入りをしたらしい形跡もなかった。
汝の知る如く我は天を閉ぢまた開くをうるなり、この故にかぎ二あり、こは乃ち我よりさきに位にありしものゝ尊まざりしものなりき 一〇三—一〇五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
表の戸にはかぎをかけてある。
箕輪の心中 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
灰または掘上ほりあげし乾ける土はその衣と色等しかるべし、彼はかゝる衣の下より二のかぎ引出ひきいだせり 一一五—一一七
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あゝわれらの主がこのしき悦びのかぎ(下界に主のもたらし給ひし)をゆだね給へる丈夫ますらを永遠とこしへの光よ 三四—三六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
右なるは、聖なる寺院の古の父、このづべき花のふたつかぎをクリストよりゆだねられし者なり 一二四—一二六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
されど黄白二のかぎのめぐるなくば何人もその背にへる荷を、心のまゝにとりかふべからず 五五—五七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
立去る前に憐愍のかぎとも仰ぐ
歌よ、ねがふは (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)