金屏風きんびやうぶ)” の例文
にごれるみづいろへて極彩色ごくさいしき金屏風きんびやうぶわたるがごとく、秋草模樣あきくさもやうつゆそでは、たか紫苑しをんこずゑりて、おどろてふとともにたゞよへり。
婦人十一題 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
金屏風きんびやうぶ、島臺、世の常の目出度いづくめの背景の中に、それはまた、何と言ふ恐ろしい取り合せでせう。
今、仙台の第二高等学校にゐる登張とばり竹風は、酒に酔ふと、筆を執つて其辺そこらへ落書をする。障子であらうと、金屏風きんびやうぶであらうと一向いとはないが、とりわけ女の長襦袢ながじゆばんへ書くのが好きらしい。
金屏風きんびやうぶでかくせ。(東京)
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
が、てよ。……玄關口げんくわんぐちで、躑躅つゝじ鉢植はちうゑ吃驚びつくりするやうでは——がらだからとほしはしまいが——上壇じやうだんで、金屏風きんびやうぶで、牡丹ぼたんると、をまはすに相違さうゐない。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
平次の手が動くと、錦太郎の後ろの金屏風きんびやうぶが取拂はれました。その奧に置かれたやうに坐つて居るのは、何と、錦太郎が殺したと思ひ込んでゐる、お福のすこやかな姿ではありませんか。
が、をりから、ざあ/\りにかぜ吹添ふきそつて、つぎ金屏風きんびやうぶ青味あをみびて、少々せう/\すゞしくぎた。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
金屏風きんびやうぶの反映する中をねり歩いたのです。
……消防手かしら御免ごめんよ。兄哥あにいおこるな。金屏風きんびやうぶつるまへに、おかめ、ひよつとこ、くりからもん/\のはだぬぎ、あぐら、なかには素裸すつぱだかるではないか。其處そこ江戸えどだい。おまつりだ。
祭のこと (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
好接異客このんでいかくにせつす、はいが、お追從連つゐしようれん眼下がんかならべて、自分じぶん上段じやうだんとこまへ無手むずなほり、金屏風きんびやうぶ御威光ごゐくわうかゞやかして、二十人前にじふにんまへぬりばかり見事みごとぜん青芋莄あをずゐき酢和すあへで、どぶろくで
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)