連中れんぢゆう)” の例文
だ東京で三年前に買つたまゝのをかぶつて居る僕の帽もこの連中れんぢゆうあかみた鳥打帽やひゞれた山高帽やまだかばうに比べれば謙遜する必要は無かつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
役人、商人あきんど、芸妓、学生……さういふ連中れんぢゆうは大事な瀬戸物をこはしでもしたやうに、てんでに頭を掻き掻き、博士の前へ出て来る。
先刻さつきから三人四人と絶えずあがつて来る見物人で大向おほむかうはかなり雑沓ざつたふして来た。まへまくから居残ゐのこつてゐる連中れんぢゆうには待ちくたびれて手をならすものもある。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
『それはおまへおなじことだ』と帽子屋ばうしやひました、これで談話はなしはぱつたりんで、連中れんぢゆう霎時しばしだまつてすわつてました、其間そのあひだあいちやんは嘴太鴉はしぶとがらす
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それきりでどつちも何とも言はなかつたが、その後も木山は善く芝居の切符を屹度きつと二枚づゝ買つて来るので、同伴してみるとそれが何時でも神楽坂かぐらざかの花柳界の連中れんぢゆうの日であるのが不思議であつた。
のらもの (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
のん気な連中れんぢゆうだな どうもロケットがおかしいぞ
前途有望ぜんというばうといふ連中れんぢゆうばかり。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
誰も彼も聞えた物持連で、高木氏のよくいふ、麦飯の身体からだにいゝ事も、耳ではよく承知をしてゐるが、口では一向に知らない連中れんぢゆうだつた。
臨終に計つた𤍠が三十九度あつたと云ふので肺ペストでは無かつたかとにはかに気に仕出す連中れんぢゆうがある外、死者に対して格別同情する者も無かつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
考へは結構だが、自体学者や芸術家などいふ連中れんぢゆうには旋毛つむじの曲つたのが多いから、英霊塔を建てたからといつて、そのまゝ成仏はしなからう。
気の置けさうにない連中れんぢゆうだが、まだ馴染なじみが浅いので食堂で顔を合すばかり、僕は相かはらず二等室へ出掛けて日をくらして居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「私が困るのはそんな結構づくめぢや無くつて、実は私の為めには従来これまでだつて一度も投票した事も無ければ、今後もすまいといふ連中れんぢゆうなのさ。」
益田孝などいふ骨董好きで加之おまけに世話好きの連中れんぢゆうで、(この連中れんぢゆうが世話好きか、骨董好きか、どつちか一つだつたら、もつと始末がかつたのだ)
何がさて、その道にかけたらみんな鼻の高い連中れんぢゆうの事とて、どうにか団体は出来上るものの、団長を拵へなくては万事に物言ひの種が尽きさうにない。
と書いて、手紙の端にアラビヤ護謨ごむで滅多にめくれないやうに切手が貼つてあつた。言ふ迄もなくデヰスやヰルキンスは、切手を取りつ放しにした連中れんぢゆうである。
十六日の朝、大阪市役所の連中れんぢゆうは恒例といふ事で、箕面みのも附近の山で兎狩をつた。その前の晩市役所のストーヴに集まつた連中れんぢゆうの一人が心もとなささうに言つた。
といふので、仲間の美術通や画家ゑかきなどは、血眼ちまなこになつて得意先を駈けづり廻つてゐる。言ふ迄もなく美術通や画家ゑかきなどいふものは、閑暇ひまがある代りに金銭かねが無い連中れんぢゆうである。
「東京の連中れんぢゆうはどうです。」麦僊氏は暫くして訊いた。「随分さかんなやうですね。」
実をいふと、兎はその朝先発隊が、動物園で買ひ取つて来て、わざ/\谿間たにあひへ伏せておいたもので、これまでだつて市の費用で飼はれてゐた、言はば市役所の連中れんぢゆうとは兄弟分の仲だつた。
剽軽者ぞろひのポプ天倶楽部の連中れんぢゆうが、この間からひよつくり関西へ顔を出して、つい昨日きのふまであつちこつちで、庭球テニスの競技をやつてゐた。この倶楽部が旅に出て来たについては色々面白い話がある。