這入はいつ)” の例文
三千代はなににも答へずにへやなか這入はいつた。セルの単衣ひとへしたに襦袢をかさねて、に大きな白い百合ゆりはなを三本ばかりげてゐた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はらなかに五六十りやう金子かね這入はいつてる、加之おまけ古金こきんだ、うしてくれよう、知つてるのはおればかりだが、ウム、い事がある。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
微温湯ぬるまゆだから其儘そのまゝゴツクリむと、からぱらへ五六十りやう金子かねもち這入はいつたのでげすからゴロ/\/\と込上こみあげてた。源
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
まつたく、服装なり丈ぢやわからない世のなかになりましたからね。何処どこの紳士かと思ふと、どうもへんちきりんなうち這入はいつてますからね」と門野かどのはすぐあとを付けた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其後そのあと入違いれちがつて這入はいつましたのが、二子ふたこ筒袖つゝそで織色おりいろ股引もゝひき穿きまして白足袋しろたび麻裏草履あさうらざうり打扮こしらへで男
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
夫から約十日許たつてから、漸く講義が始まつた。三四郎が始めて教室へ這入はいつて、ほかの学生と一所に先生のるのをつてゐた時の心持は実に殊勝なものであつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
穏坊をんばう畜生ちくしやう此方こつち這入はいつやアがるときかねえぞ、無闇むやみ這入へいりやアがるとオンボウいて押付おつつけるぞ。と悪体あくたいをつきながら穏坊をんばうそでした掻潜かいくゞつてスーツと駈出かけだしてきました。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
先刻さつき三千代がげて這入はいつ百合ゆりの花が、依然として洋卓テーブルうへつてゐる。あまたるいつよ二人ふたりあひだに立ちつゝあつた。代助は此重苦おもくるしい刺激を鼻のさきに置くに堪へなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
唐繻子たうじゆす丸帯まるおびめ小さい洋傘かうもりがさもつ這入はいつました。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
大都会だいとくわいの事だからすぐ御武家おぶけ一人ひとり這入はいつて○
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
多くの黒牛くろうし白牛しろうし這入はいつまして
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)