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迷児
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まいご
ふりがな文庫
“
迷児
(
まいご
)” の例文
旧字:
迷兒
ウォルタアとチャアリイは帰路を失って
迷児
(
まいご
)
になったもの、早晩どこかの
横町
(
よこちょう
)
ででも発見されて、安全に
伴
(
つ
)
れ戻されることだろう。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
「おかしいねえ、おかしいよ。いつの間に道が消えたんだろう?
迷児
(
まいご
)
になっちゃった、困ったわねえ」考えたが追っ付かない。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
早や
門
(
かど
)
を
鎖
(
とざ
)
した軒下に、
大
(
おおき
)
な立ん坊の
迷児
(
まいご
)
のごとく
蹲
(
うずくま
)
っていた男がむらむらと立つと、ざわざわと毛の音を立てて、鼻息を前にハッハッ
獣
(
けだもの
)
の
呼吸
(
いき
)
づかい。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
孫「何がお仕合せだ、
何
(
なん
)
だか解らん口上ばかり云って……まアも一度本気になって
迷児
(
まいご
)
を尋ねに出て貰いたい」
政談月の鏡
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
たまに横町へでも曲ると、すぐ
迷児
(
まいご
)
になってしまう。論理の地盤を
竪
(
たて
)
に切り下げた坑道などへは、てんから足も踏み込めない。彼の神経系に至っては
猶更
(
なおさら
)
粗末である。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
さ程でもない道のりを、妙子は、この生垣の中で、
迷児
(
まいご
)
になってしまうのではないかと思った程だ。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
こういう混雑の場所で、子供が親にはぐれて
迷児
(
まいご
)
になるのは珍らしくないことですが、親たちの身になれば騒ぐのも当然で、お雛もお福も気ちがいのようになって騒ぐ。
半七捕物帳:56 河豚太鼓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
明治三十三年四月十五日の日曜日に向嶋にて警察官の厄介となりし者酩酊者二百五人喧嘩九十六件、
内
(
うち
)
負傷者六人、違警罪一人、
迷児
(
まいご
)
十四人と聞く。雑沓狼藉の
状
(
さま
)
察すべし。
向嶋
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
元来私は、磁石の方角を直覚する感官機能に、何かの著るしい欠陥をもった人間である。そのため道のおぼえが悪く、少し慣れない土地へ行くと、すぐ
迷児
(
まいご
)
になってしまった。
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
その間栗と壺とは絶えずぐるぐると廻されていた。やがて一同はちびのティムが雪の中を旅して歩く
迷児
(
まいご
)
のことを歌った歌を唄うのを聞いた。彼は悲しげな小さい声を持っていた。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
ぼんやりふところ手して
迷児
(
まいご
)
のように毎日のように郊外をうろついたこともあった。酒精にたるんだ瞳に深夜の星の寒い光をしみこませて、電信柱を抱いて慟哭したこともあった。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
このへんの森で
迷児
(
まいご
)
になったという豚だろうか? それはいそいでやってくる。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
うっかりあの前へ行ってポカンと立っていると
巾着切
(
きんちゃくきり
)
に巾着を切られるから用心しろ、ぐずぐずしていると
迷児
(
まいご
)
になるから、おれの袖をしっかり
捉
(
つか
)
めえていろ、自分の足を踏まれぬように
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
迷児
(
まいご
)
になってしまったのだった。二人はベソをかくのを隠しっこをしてウロウロしたが上野の山は桜が白くこぼれて、山下の燈があかるいほどなおさびしかった。鐘つき堂の鐘が鳴った——
旧聞日本橋:06 古屋島七兵衛
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
しかれども伝統的の道徳だの、宗教だのはよほどひどく破壊されて、これに代るものがなく、善悪正邪の巷において
迷児
(
まいご
)
となる者が多く、社会的の欠陥もまたけっして少なくなかったのである。
明治哲学界の回顧:01 序論
(新字新仮名)
/
井上哲次郎
(著)
「何んだ、大変が
迷児
(
まいご
)
にでもなったのか、相変らず騒々しい野郎だ」
銭形平次捕物控:239 群盗
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
すっかり打ちのめされて、
迷児
(
まいご
)
のようになったおせい様であった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
生粋の倫敦人でもうっかりすると
迷児
(
まいご
)
になるくらいだ。
踊る地平線:03 黄と白の群像
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
もう、富豪の
迷児
(
まいご
)
を見つけてお礼にありつこうなんかという
暢気
(
のんき
)
なものではない。新しい命令が全市へ飛んで、警官はいっせいに緊張した。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
そうして少し
黴臭
(
かびくさ
)
いけれどな。アッハハハゆっくり休みねえ。けれどあらかじめ云っておくがな、あんまりノコノコ歩き廻らぬがいい。うかうか歩くと
迷児
(
まいご
)
になるぜ
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
たまに横町へでも
曲
(
まが
)
ると、すぐ
迷児
(
まいご
)
になつて仕舞ふ。論理の地盤を
竪
(
たて
)
に切り下げた坑道などへは、てんから足も踏み込めない。
彼
(
かれ
)
の神経系に至つては猶更粗末である。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
生れてはじめて
迷児
(
まいご
)
になったんだから、こりゃ自分の
身体
(
からだ
)
はどうかいうわけで、こんなことになったのじゃあなかろうかと、馬鹿々々しいけれども、
恐
(
こわ
)
くなったんです。
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「十や十五の子供ではなし、
迷児
(
まいご
)
になったのではあるまいが、それにしても少し手間取り過ぎるよ」
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「そうかい、
此家
(
うち
)
は広いから、また
迷児
(
まいご
)
にでもなってると悪い、可愛い坊ちゃんなんだから。」とぴたりと帯に手を当てると、帯しめの
金金具
(
きんかなぐ
)
が、指の中でパチリと鳴る。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この時軍曹は紛失物が見当ったと云う風で上から婆さんを
見下
(
みおろ
)
す。婆さんはやっと
迷児
(
まいご
)
を見つけたと云う
体
(
てい
)
で下から軍曹を見上げる。やがて軍曹はあるき出す。婆さんもあるき出す。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
したのだろう。
迷児
(
まいご
)
になっているのかもしれないが、たいしたことはないさ。もうすこし待ってみて帰って来なければ、警察に頼んで
捜
(
さが
)
してもらおう。そうすれば、すぐ見つかるにきまってる。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
いい加減に遊ばっしゃったら、
迷児
(
まいご
)
にならずに
帰
(
けえ
)
らっしゃいよ、奥様が待ってござろうに。
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「なに今に帰って来ますよ。心配しないでも
迷児
(
まいご
)
になる
気遣
(
きづかい
)
はないから大丈夫です」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
迷児
(
まいご
)
になったのではないでしょうか?」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
わざと
迷児
(
まいご
)
になんぞおなり遊ばして、
可
(
よ
)
うござります、
翌日
(
あす
)
は暗い内から婆々が
店頭
(
みせさき
)
に張番をして、
芸妓
(
げいこ
)
さんとでも
腕車
(
くるま
)
で通って御覧じゃい、お
望
(
のぞみ
)
の蛸の足を放りつけて上げますに。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「そんなに広いのか。案内を知らないものは
迷児
(
まいご
)
にでもなりそうだね」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
うら
枯
(
がれ
)
の秋から、冬の時雨の夜へかけて、——
迷児
(
まいご
)
の迷児の何とかやーい——と鐘をたたいて、魔に
捉
(
と
)
られたものを探す声を、毎晩のように聞いて、何とも早や首を縮めたものでござります
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
迷児
(
まいご
)
になって、行先が分らなくなりゃ仕方がないじゃありませんか」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「お前様も。死んだ
迷児
(
まいご
)
という事が、世の中にござりますかい。」
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
杖
(
つえ
)
柱とも思う
同伴
(
つれ
)
の若いものに別れると、六十の
迷児
(
まいご
)
になって、もし、この辺に棚からぶら下がったような宿屋はござりませんかと、
賑
(
にぎや
)
かな町の中を独りとぼとぼと尋ね
飽倦
(
あぐ
)
んで、もう
落胆
(
がっかり
)
しやした
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
迷児
(
まいご
)
の、迷児の、迷児やあ——
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
迷
常用漢字
小5
部首:⾡
9画
児
常用漢字
小4
部首:⼉
7画
“迷”で始まる語句
迷
迷惑
迷子
迷信
迷妄
迷宮
迷路
迷子札
迷兒
迷羊