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跛足
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びつこ
ふりがな文庫
“
跛足
(
びつこ
)” の例文
さう言ふ飴屋の甚助は、三十四五のまだ若い男で、少々
跛足
(
びつこ
)
で、蒼黒くて、碁は強いかもわかりませんが、人間は恐しく弱さうです。
銭形平次捕物控:188 お長屋碁会
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ところがあなたの眼はヷルカンを見てゐる——
正眞正銘
(
しやうしんしやうめい
)
の鍛冶屋で、色が黒くて、肩幅の廣い。おまけに
盲目
(
めつかち
)
で
跛足
(
びつこ
)
ときてる。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
昌作は聞かぬ振をして、『英吉利の詩人にポープといふ人が有つた。その詩人は、
佝僂
(
せむし
)
で
跛足
(
びつこ
)
だつたさうだ。人物の大小は體に關らないさ。』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
マラソン競走の優勝者、
仏蘭西
(
フランス
)
領アルジェリイ生れのエルアフイは少しばかり
跛足
(
びつこ
)
を引きながら地下室の浴場に入つた。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
店に居る力三もその又下の
跛足
(
びつこ
)
な哲も呼び入れて、何処にしまつてあつたのか
美味
(
おい
)
しい煎餅の馳走をしてくれたりした。
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
光
(
みつ
)
は
此間
(
こなひだ
)
機械體操とかで右の足に怪我をしたのだけど、これつぱかりのことで休んでなるものかなんて、
繃帶
(
はうたい
)
して
跛足
(
びつこ
)
引き/\學校へ行つてゐるよ。
孫だち
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
驚怖
(
きやうふ
)
の
餘
(
あま
)
り
物陰
(
ものかげ
)
に
凝然
(
ぢつ
)
と
潜伏
(
せんぷく
)
して
居
(
ゐ
)
た
鷄
(
とり
)
は
次
(
つぎ
)
の
朝
(
あさ
)
漸
(
やうや
)
く
他
(
た
)
の
鷄
(
とり
)
の
群
(
むれ
)
に
交
(
まじ
)
つて
歩
(
ある
)
いたけれど
幾
(
いく
)
らかまだ
跛足
(
びつこ
)
曳
(
ひ
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
すると、今までトルストイの手元ばかり見詰めてゐた
乞丐
(
こじき
)
は、
吃驚
(
びつくり
)
して
跛足
(
びつこ
)
をひきひき、宿無し
狗
(
いぬ
)
のやうに直ぐ前の
歴山
(
アレキサンダー
)
公園の
樹蔭
(
こかげ
)
に逃げ込んでしまつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
しかし榊の枝がざら/\と袖に觸れて鳴つただけ、腰も拔けなければ、
跛足
(
びつこ
)
になることもなかつた。
石川五右衛門の生立
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
が、お
前様
(
めえさま
)
、
此
(
こ
)
の
手際
(
てぎは
)
では、
昨夜
(
ゆふべ
)
造
(
つく
)
り
上
(
あ
)
げて、お
天守
(
てんしゆ
)
へ
持
(
も
)
つてござつた
木像
(
もくざう
)
も、
矢張
(
やつぱり
)
同
(
おな
)
じ
型
(
かた
)
ではねえだか。……
寸法
(
すんぽふ
)
が
同
(
おな
)
じでも
脚
(
あし
)
の
筋
(
すぢ
)
が
釣
(
つ
)
つて
居
(
を
)
らぬか、
其
(
それ
)
では
跛足
(
びつこ
)
ぢや。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
世の中にはお前さんなどよりも数等
利
(
き
)
かぬ体で、立派な事業を為た人はいくらもある。
盲目
(
めくら
)
で学者になつた
塙検校
(
はなはけんげう
)
と言ふ人も居るし、
跛足
(
びつこ
)
で大金持に為つた
大俣
(
おほまた
)
の惣七といふ男もある。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
タミの後から
跛足
(
びつこ
)
をひきながらやつて来るのは父親の源治であつた。
押しかけ女房
(新字新仮名)
/
伊藤永之介
(著)
跛足
(
びつこ
)
を引いて居るのでせう。
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
甚助は
跛足
(
びつこ
)
なんか引かないし、角左衞門は鳥眼なんかぢやないよ。道の眞ん中に置いた材木を、ポンと飛び越して行つたくらゐだもの
銭形平次捕物控:188 お長屋碁会
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
棺の後ろには位牌を持つた
跛足
(
びつこ
)
の哲が、力三とお末とのはき古した足駄をはいて、ひよこり/\と高くなり低くなりして歩いて行くのがよく見えた。
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
説明する前にはつきりと申上げますがね、もし僕があなたをお
援
(
たす
)
けするとすれば、それは
盲人
(
めくら
)
が
跛足
(
びつこ
)
を援けると同じ事だといふ僕の注意を忘れないで下さい。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
幼い時竹片を持つて遊んでゐると、蛙がぎやア/\鳴くので、其の悲しさうな聲をたよりに竹片で雜草の中を叩き𢌞ると、蛇に呑まれかけた蛙が、
跛足
(
びつこ
)
引き引き危いところを逃げて行つた。
ごりがん
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
トルストイは直ぐ眼の前に、
跛足
(
びつこ
)
の
乞丐
(
こじき
)
が立つてゐるのを見た。施し物をしようとして、彼がポケツトに手を
突込
(
つきこ
)
むだ一刹那、要塞のなかから重い靴音を引摺りながら一
人
(
にん
)
の番兵が顔を出した。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
すると弟の
跛足
(
びつこ
)
の
多見治
(
たみぢ
)
は、——たうとうやつたのか——と變なことを言ひました。美しい内儀のお若さん、あれは大した女ですね。
銭形平次捕物控:305 美しき獲物
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
跛足
(
びつこ
)
でしなびた小さい哲も、家の中に暖かみと繁盛とを
齎
(
もた
)
らす相ではなかつた。
お末の死
(新字旧仮名)
/
有島武郎
(著)
「あなたが世話を見てやらなくてはならない、二十も年上の
跛足
(
びつこ
)
の男とでも?」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
今にも
跛足
(
びつこ
)
を曳きさうな足取りをしながら、お光は言つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
「至つて丈夫でしたが、唯、二三年前から輕い中風の氣味で、左の腕と足が重いやうだと申し、氣をつけて見ると、少し
跛足
(
びつこ
)
を引いて居りました」
銭形平次捕物控:221 晒し場は招く
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
跛足
(
びつこ
)
だつた筈の辰三は、跛足でも何んでもなく、その逃げ足の素早さには、平次も彌次馬も追ひ付けさうにありません。
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「髷切の曲者は、お武家でございますよ、——立派なお武家で、四十五六にもなりますか、背の低い、少し
跛足
(
びつこ
)
ですが、恐ろしい體術でございます」
銭形平次捕物控:174 髷切り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
ガラツ八の手の中に、一と握りになつたのは、見る影もない女、
跛足
(
びつこ
)
の
大燒痕
(
おほやけど
)
の、あの下女のお
越
(
ゑつ
)
だつたのです。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八五郎の頭には、初めて智慧が
閃
(
ひら
)
めきました。曲者はこの
跛足
(
びつこ
)
で
眇目
(
めつかち
)
の、不景氣な巾着切の外にはありません。
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
跛足
(
びつこ
)
は右と左を間違へなきア滅多に知れつこはねえが、三月の間、髮へ
埃
(
ほこり
)
と
煤
(
すゝ
)
を塗りこくつた辛抱には驚いたよ
銭形平次捕物控:031 濡れた千両箱
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
まだ三十五六といふのに、
眇目
(
めつかち
)
で
跛足
(
びつこ
)
で、虫喰ひ頭の
禿
(
はげ
)
ちよろで、まことに見る影もない男だつたのです。
銭形平次捕物控:307 掏られた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「槍の穗は、少しばかりの
灯
(
あかり
)
を目當に投つて見事狙ひが狂つたが、目のまだ見える時見定めて置いた臼を使つての細工は、少し
跛足
(
びつこ
)
でも眼が不自由でも出來る」
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それは有難い、宜い話を聽いた、——八、
跛足
(
びつこ
)
で背の低い體術の名人といふのをお前は知つて居るか」
銭形平次捕物控:174 髷切り
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お吉は
躍起
(
やくき
)
と抗辯しました。お菊より二つ年上ですが、
跛足
(
びつこ
)
のせゐか小柄で、お淺お菊姉妹には比べられないにしても、お樂が化物娘といふほど
醜
(
みにく
)
くはありません。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
繼父彌助の連れ
娘
(
こ
)
、歳はお菊より二つ上の
二十歳
(
はたち
)
ですが、
跛足
(
びつこ
)
で不きりやうで、餘り店へも出さないやうにしてゐる、お吉と一緒に錢湯へ行つて、速中まで歸つて來たところを
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「足は中年からの骨の
患
(
わずら
)
ひで、ひどい
跛足
(
びつこ
)
を引けば、歩けないことはありません」
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此邊には
跛足
(
びつこ
)
も片輪も居ないから、うんと大きいか、法外に小さい足跡だらう。月の光でそれと氣がついて、その血の足跡を隱すために、雜巾で拭いた上壁へも床へも滅茶に血を塗つた。
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「當り前よ、——が、待てよ、宗太郎は此處を出る時、
跛足
(
びつこ
)
を引いて居たか」
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
最後の客が、まだ二三人殘つて居るうちから、
跛足
(
びつこ
)
の木戸番が、もう二人の若い男と一緒に客席へ降りて、土間に敷いた薄縁と筵を剥ぎ、その跡をざつと
掃
(
は
)
いて、彼方此方の灯を消し廻ります。
銭形平次捕物控:270 転婆娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「あつしと互先ですよ、——居留木さんの隣は飴屋の甚助で、これは三十五六の男盛りだが、弱氣ではにかみ屋で、少し
跛足
(
びつこ
)
で、遊びも道樂も知らない變人だ。碁の強いのは見つけもので、あつしが二目置かされる」
銭形平次捕物控:188 お長屋碁会
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その少し
跛足
(
びつこ
)
を引く後姿を見送つて
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
跛足
(
びつこ
)
はどうする」
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
跛
漢検1級
部首:⾜
12画
足
常用漢字
小1
部首:⾜
7画
“跛足”で始まる語句
跛足馬