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赤錆
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あかさび
ふりがな文庫
“
赤錆
(
あかさび
)” の例文
すると、驚いたことには小刀が
悉皆
(
すっかり
)
赤錆
(
あかさび
)
になっております。これを見た時、私は何ともいえない
慚愧
(
ざんき
)
悔恨の念が胸にこみ上げて来ました。
幕末維新懐古談:37 鋳物の仕事をしたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
侍女 ええ、
錠
(
じょう
)
の
鍵
(
かぎ
)
は、がっちりささっておりましたけれど、
赤錆
(
あかさび
)
に錆切りまして、
圧
(
お
)
しますと開きました。くされて落ちたのでございます。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
僕等は
芒
(
すすき
)
の穂を出した中を「悠々荘」の
後
(
うし
)
ろへ
廻
(
まわ
)
って見た。そこにはもう
赤錆
(
あかさび
)
のふいた
亜鉛葺
(
とたんぶき
)
の
納屋
(
なや
)
が
一棟
(
ひとむね
)
あった。
悠々荘
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この島の神様
赤水
(
あかみず
)
明神は姫神でした。この水を
掬
(
く
)
んで歯をお染めになろうとすると水の色が
赤錆
(
あかさび
)
色であったので、また
銕漿水
(
おはぐろみず
)
という名前もありました。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
赤錆
(
あかさび
)
だらけの
牡蠣殻
(
かきがら
)
だらけのボロ船が少しも恐ろしい事アないが、それでも逃がして
浦塩
(
ウラジオ
)
へ追い込めると士気に関係する。これで先ず一段落が着いた。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
▼ もっと見る
赤錆
(
あかさび
)
になったり刃の鈍くなったもので、ゴリゴリとごつく削っていたのでは、かつおぶしがたとえ百円のものでも、五十円の値打ちすらないものになる。
だしの取り方
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
一番下の
凝混土
(
コンクリート
)
に接する処の奥の方から、半腐りになったメリヤスの
襯衣
(
シャツ
)
に包んだ、ボロボロの手袋と、靴下と、
赤錆
(
あかさび
)
だらけの藁切庖丁が一梃出て来た。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
船籍、ブエノス・アイレスと白ぺいんとが
赤錆
(
あかさび
)
で消えかかって、足の下の
吃水線
(
きっすいせん
)
には、南あめりかからくっ附いて来た紫の海草が星と一しょに動いていた。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
ところが
古墳
(
こふん
)
に
入
(
い
)
れてあつた
刀
(
かたな
)
や
劍
(
つるぎ
)
の
類
(
るい
)
になりますと、その
數
(
かず
)
は
非常
(
ひじよう
)
にたくさんありますが、
中身
(
なかみ
)
がみな
鐵
(
てつ
)
ですから
赤錆
(
あかさび
)
になつて、ぼろ/\に
腐
(
くさ
)
つてしまひ
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
島のなかほどのところに、岩の柱がいくつか背伸びをし、南画にある
唐
(
から
)
の山にそっくりであった。ときどき噴火があるのらしく、丸い峯の頂きに
赤錆
(
あかさび
)
がついている。
藤九郎の島
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
念のため、剣の奉納額のある社を、片っ端から歩きましたがどこのも無事で、——よしんば額から取り外したところで、
赤錆
(
あかさび
)
に錆びて物の役に立ちそうもありません。
銭形平次捕物控:067 欄干の死骸
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
入口はその格子の一部分で、そこに鉄製の
潜戸
(
くぐりど
)
があって、それには
赤錆
(
あかさび
)
のした大きな鉄の錠が、いかにも
厳
(
おごそ
)
かに、さもさも何か「重大事件」といったように重たく横たえられてある。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
屋根や垣がさっと転覆した勢をその
儘
(
まま
)
とどめ、黒々とつづいているし、コンクリートの
空洞
(
くうどう
)
や
赤錆
(
あかさび
)
の鉄筋がところどころ入乱れている。横川駅はわずかに乗り降りのホームを残しているだけであった。
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
腕
(
うで
)
もなまくら、刀も
赤錆
(
あかさび
)
、
上着
(
うわぎ
)
一枚きれはしない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
品川沖の外國廢船の
赤錆
(
あかさび
)
展望
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
侍女 えゝ、錠の鍵は、がつちりさゝつて
居
(
お
)
りましたけれど、
赤錆
(
あかさび
)
に
錆切
(
さびき
)
りまして、
圧
(
お
)
しますと
開
(
あ
)
きました。くされて落ちたのでございます。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
赤錆
(
あかさび
)
になったり、刃の鈍くなったもので、ゴリゴリとごつく削っていたのでは、かつおぶしが例え一円のものでも、五十銭の値打ちもしないものになります。
日本料理の基礎観念
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
爪先上りの所々には、
赤錆
(
あかさび
)
の線路も見えない程、落葉のたまつてゐる場所もあつた。その路をやつと登り切つたら、今度は高い崖の向うに、広々と薄ら寒い海が開けた。
トロツコ
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
杖立て清水をもって百姓の難儀を救うまではよいが、怒って井戸の水を
赤錆
(
あかさび
)
にして行ったり、芋や果物を食べられぬようにしたというなどは、こういう人たちには似合わぬ仕業であります。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
すると又それに連れて図書館の外側の手入れが不充分になったらしく、スレート屋根の上にタンポポだのペンペン草だのがチラチラと
生
(
は
)
え始めた。緑色の鉄のブラインドには
赤錆
(
あかさび
)
が吹き始めた。
けむりを吐かぬ煙突
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
……別に
鉄槌
(
かなづち
)
、うむ、
赤錆
(
あかさび
)
、黒錆、青錆の
釘
(
くぎ
)
、ぞろぞろと……青い
蜘蛛
(
くも
)
、
紅
(
あか
)
い
守宮
(
やもり
)
、黒
蜥蜴
(
とかげ
)
の血を塗ったも知れぬ。
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
爪先
(
つまさき
)
上りの
所所
(
ところどころ
)
には、
赤錆
(
あかさび
)
の線路も見えない程、落葉のたまっている場所もあった。その路をやっと登り切ったら、今度は高い
崖
(
がけ
)
の向うに、広広と薄ら寒い海が開けた。
トロッコ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
渋色の
逞
(
たくま
)
しき手に、
赤錆
(
あかさび
)
ついた大出刃を不器用に
引握
(
ひんにぎ
)
って、
裸体
(
はだか
)
の
婦
(
おんな
)
の
胴中
(
どうなか
)
を切放して
燻
(
いぶ
)
したような、赤肉と黒の皮と、ずたずたに、血筋を
縢
(
かが
)
った中に、骨の薄く見える
露肆
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
江東橋
(
かうとうばし
)
を渡つた向うもやはりバラツクばかりである。僕は円タクの窓越しに
赤錆
(
あかさび
)
をふいた
亜鉛
(
トタン
)
屋根だのペンキ塗りの
板目
(
はめ
)
だのを見ながら、確か明治四十三年にあつた
大水
(
おほみづ
)
のことを思ひ出した。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
赤
常用漢字
小1
部首:⾚
7画
錆
漢検準1級
部首:⾦
16画
“赤錆”で始まる語句
赤錆色