)” の例文
花前は、ついに自分で菓子かしなどうてきて、民子にやるようになった。ときにはさびしいわらいようをして、タアちゃんと一ことくらいよぶのであった。
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
「栄三郎どのか、ちょうどよいところへ戻られたナ。あがらんうちに、その足で小豆あずきをすこしうて来てもらいたい」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
あの爺さん、何でもあれを神戸でうて来て、たった一度しか手をとおさないちいいましたけんな。なに、ちっとばっかり惜しかごつしとりましたたい。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
色よき返事このようにと心に祝いて土産みやげに京都よりうて来し友染縮緬ゆうぜんちりめんずたずたに引き裂きて屑籠くずかごに投げ込みぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「そないお云やしたかて、あんたがうておいでたんやおへんか。わてエかてかなわんわ、しんどうて。………」
蓼喰う虫 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「アそかそか、叔父さんがな、遠い所でこんなにええ物うて来ておくれはった。アーええこと、ソーラ。」
御身 (新字新仮名) / 横光利一(著)
四条御幸町の角に吉勘と言って錦絵の木版画や白描を売っている店がありましたが、使い走りをした時などここで絵をうて貰うのが一番好きなお駄賃でした。
今日になるまで (新字新仮名) / 上村松園(著)
馬鈴薯じゃがいもうて来ることを巳代公みよこうに頼むと云って、とめやがくわで地をる真似をして、ゆびまるいものをこさえて見せて、口にあてゝ食うさまをして、東を指し北を指し
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「ここはあての家や、あるもんもみんなあての銭でうたもんや、あんたのもんはなに一つあれへん、ぞうさもないこっちゃ出ていきなはれ、出なはれえな、出てかんかいな」
陽気な客 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「人が大勢居ると危ないから又連れて行ってやる。土産をうて来てやるから待っとれ」
押絵の奇蹟 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
病床びょうしょうにありし良人おっとへも委細を語りて、これも天の御加護おかごならんと、薬も買いぬ、小供に菓子もうてりぬ、親子三人久し振りにて笑い顔をも見せ合いしに、良人のやまいはなおおもり行きて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
朋輩ほうばいの僧達はがんうてその骨を焼き、骨塔を雷峰の下に造ったのであった。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「お母さん、百合の花の弁当箱、ほんまにうてよ。いつ買うてくれるん?」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
此間こないだ瞽女町へ往て芸者をうたが、面白くって抱いて寝るのではないが遊んだので、借金が有るから袈裟文庫を預けようと思うたが、明日あした法事が有っても困りますから、是を貴方あんたへ預けて置いて
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
たいうてみやげのうそや汐干狩しおひがり。せめて鯛をお描きください」
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「お父さんが商売があってみい、何でもうてやるがの……」
風琴と魚の町 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
お蚕様の時、えれえ働いたちゅうてうて呉れたのし。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
そしておかみさんに姿見鏡すがたみ一つうてくりょ。
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
それでなあ、此の猫かしわの肉が好きやよつてに、僕、自分でこれうて来て、水煮みずだきにしときましたさかい、彼方あっちへ着いたらき食べさしてやるやうに云うとくなはれしまへんか。
猫と庄造と二人のをんな (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「こりば、先生にぐっちいいよらす。食べて見なはっとよか。そりゃうまか。小樽でうてらしたたい。自分の家の鑵詰ですもんな。うむ、日本中の何処どけ行たっちゃ売っとる。」
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
「歌をなろうてもぜにもうけのたしにはならんいうて、うてくれんのじゃ」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
「それなら往け、しかし、つまらんものをうちゃいかんぞ」
参宮がえり (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
『ヨカヨカ。指環ぐらい其中いんまうちゃる』
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ちっちゃなおうまもうてあぎょ。
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
上「まあ酒をうて」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「ううん、それは明日あしたとっつぁんがうてきてくれるん」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
「姉やんに時計うてきたんで」
(新字新仮名) / 壺井栄(著)