たか)” の例文
かのみたりの女、姿にきはのさらにすぐれてたかきをあらはし、その天使の如き舞のしらべにつれてをどりつゝ進みいでたり 一三〇—一三二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
殿方よりは夫人おくがたの、身分たかいが流行りまする、当節柄の人気には、秋田様が真実の里方でない事を、人も知つて、とやかくの噂を致してゐるとやら。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
晏子こたえて「おおせの通りで御座ります。近来はようの価がたかく、の価がやすくなりましたように存じまする」と申上げた。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
知合も交際つきあいもない。まるで他国と同様だ。それに来て見ると、砂が立つ、ほこりが立つ。雑沓ざっとうはする、物価ものたかし、けっして住み好いとは思わない。……
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これを商人にたとえていえば、物品をやすく買ってたかく売りたいというのがその希望であろうが、時に相場が下がったり、品物が毀損きそんしたりしてうまく行かぬ事がある。
王道焜書幅おうどうこんしょふく御手に入りたる由、字数も五十余字ありとの事、値も随分たかく定めて名幅の事と想像致候。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
私はあなたが許嫁いいなずけをしていないことを知ってるのですが、あなたのような容貌きりょうを持ち、才能があり、立派な家柄があって、何も身分のたかい婿がなくっても好いでしょう。
封三娘 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
あたひたかき物は海人あまの家にふさはしからず。父の見給はばいかにつみし給はんといふ。豊雄、一三三たからつひやして買ひたるにもあらず。きのふ一三四人のさせしをここに置きしなり。
蘇我氏の出である遠智おちいらつめの腹にまうけられた第一王子は唖で、九年ほど前に夭折してゐたし、志賀、川島の両王子は、これまたそれぞれたかからぬ腹に生まれたといふ点はともかくとして
鸚鵡:『白鳳』第二部 (新字旧仮名) / 神西清(著)
大路の事であるから、たかき人も行き、ひくき者も行き、職人も行き、物売りも行き、老人も行けば婦人も行き、小児も行けば壮夫も行く、亢々然こうこうぜんと行くものもあれば、踉蹌ろうそうとして行くものもある。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
村に一人の男があって梨をまちに売りに往ったが、すこぶる甘いうえににおいもいいのでたかい値で売れた。破れた頭巾をかむり、破れた綿入をきた一人の道士がって、その梨を積んでいる車の前へ来て
種梨 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
本玉ほんたまとかいふ水晶製の眼鏡の価たかきをもいとはで此彼これかれと多くあがなひ求めて掛替々々凌ぐものから(中略、去歳こぞ庚子かのえね即ち天保十一年の)夏に至りては只朦々朧々として細字を書く事ならねばその稿本を
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
人ごとにたかき卑しき品はあれど命のたねによしあしは無し
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
去年米貴闕軍食 去年米たかくして軍食を
詩人への註文 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
我は盜人の中にて汝のきはたか邑民まちびと五人いつたりをみたり、我之を恥とす、汝もまた之によりて擧げられて大いなる譽を受くることはあらじ 四—六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
見らるゝ如く足跡を我に踏ましむるこのひとりは裸にて毛なしといへども汝の思ふよりは尚きはたかき者なりき 三四—三六
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
カルフッチの出でし木の根もまた既に大なりき、シツィイとアルリグッチとは既にたかき座に押されたり 一〇六—一〇八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
我はかのきはたかき者のむれの、やがて色あをざめ且つへりくだり、何者をか待つごとくにもだして仰ぎながむるを見き 二二—二四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
汝のきはたかければわが良心は我の直く立つを責めたり。 一三〇—一三二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)