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襁褓
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おしめ
ふりがな文庫
“
襁褓
(
おしめ
)” の例文
婦人はやがて烈しき産痛の後に分娩すれば、
生児
(
せいじ
)
に乳を
哺
(
の
)
ませる。小便をさせる。始終汚れた
襁褓
(
おしめ
)
を取り換えてやらなければならぬ。
現代の婦人に告ぐ
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
又は赤児の
襁褓
(
おしめ
)
や下駄傘、台所の流しなぞを、気の
狂
(
ちが
)
つたやうな凄じい勢ひで、洗つたり干したりして、大声に話して居る罵つてゐる。
根津遊草
(新字旧仮名)
/
正岡容
(著)
殊に庭の
襁褓
(
おしめ
)
が主人の人格を七分方下げるように思ったが、求むる所があって来たのだから、質樸な風をして、
誰
(
たれ
)
も言うような世辞を
交
(
ま
)
ぜて
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そして、嬰児にさしてあった
襁褓
(
おしめ
)
が庭の梅の木の枝にかかっていたと云って、嬰児は鷲に掴まれたと云うことになった。
鷲
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
われはこれ、魏王の命をうけて、汝の父の首を取りにきた者で、汝のようなまだ
襁褓
(
おしめ
)
のにおいがするような
疥癩
(
かいらい
)
の小児を、
馘
(
くびき
)
りに来たのではない。
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
(念の為言つておくが、学校教員といふものは
自宅
(
うち
)
では玄関番をしたり、子供の
襁褓
(
おしめ
)
を洗つたりするものなのだ。)
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
銀子は
襁褓
(
おしめ
)
を見て、少しうんざりするのだったが、この小さい人たちだけは、一人も芸者にしたくないと思った。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
腰にはユラユラブカブカする、今なら
襁褓
(
おしめ
)
干しにつかうような格好のものを入れて洋服を着ていた時代である。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
赤とんぼのスイスイと飛ぶ
河岸縁
(
かしつぷち
)
を、
襁褓
(
おしめ
)
臭い裏通りを、足早に深川へと廻りながら、平次の話は續くのです。
銭形平次捕物控:164 幽霊の手紙
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
襁褓
(
おしめ
)
を栄一と内山は毎日交代で朝早く吾妻通四丁目と三丁目の大溝まで洗ひに行つた。そのお襁褓を洗ふ度に栄一は色々と宗教的訓練のことに就いて考へた。
死線を越えて:01 死線を越えて
(新字旧仮名)
/
賀川豊彦
(著)
西洋人の口は玉葱臭く日本人の口は沢庵臭し。善良なる家庭は
襁褓
(
おしめ
)
くさく不良なる家庭は
乾魚
(
ひもの
)
臭し。
雲脂
(
ふけ
)
くさきは書生部屋にして安煙草の
脂
(
やに
)
臭きは区役所と警察署なり。
偏奇館漫録
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
インクナブラとは、
襁褓
(
おしめ
)
、むつきの意味だそうで、つまり赤ん坊時代、たれ流し時代の書物を指すと思えば間違いない。平たく云えば「おしめ本」とでも訳す可きだろう。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
マンは、かたわらで、赤ン坊の
襁褓
(
おしめ
)
をこしらえていたが、これも疲れたように、手を休めた。
浴衣
(
ゆかた
)
や襦袢の着くずしを、オシメに縫いなおしたのが、五六枚、重ねてある。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
既に久しく学校の宿直室を自分等の家として居るので、村費で雇はれた小使が
襁褓
(
おしめ
)
の洗濯まで其職務中に加へられ、
牝鶏
(
ひんけい
)
常に暁を報ずるといふ内情は、自分もよく知つて居る。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
家から五丁程西に当つて、品川堀と云ふ小さな
流水
(
ながれ
)
がある。玉川上水の
分流
(
わかれ
)
で、品川方面の
灌漑専用
(
くわんがいせんよう
)
の水だが、
附近
(
あたり
)
の村人は
朝々
(
あさ/\
)
顔
(
かほ
)
も洗へば、
襁褓
(
おしめ
)
の洗濯もする、肥桶も洗ふ。
水汲み
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
阿母さんは
一寸
(
ちよつと
)
振返つて貢さんを見たが、
黙
(
だま
)
つて上を向いて
襁褓
(
おしめ
)
の濡れたのを
伸
(
のば
)
して
居
(
ゐ
)
る。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
家
(
うち
)
から五丁程西に当って、品川堀と云う小さな
流水
(
ながれ
)
がある。
玉川上水
(
たまがわじょうすい
)
の分派で、品川方面の
灌漑専用
(
かんがいせんよう
)
の水だが、附近の村人は朝々顔も洗えば、
襁褓
(
おしめ
)
の洗濯もする、肥桶も洗う。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
庭先に
襁褓
(
おしめ
)
の乾してあるのを見て、主人公は心中、先輩を侮るような気持を起こすのだが、初対面には、とかくこんな意識が働くのではなかろうか。深く咎めだてをする性質のものでもないであろう。
風貌:――太宰治のこと
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
苔
(
こけ
)
の生えた
鱗葺
(
こけらぶ
)
きの屋根、腐った土台、傾いた柱、汚れた
板目
(
はめ
)
、干してある
襤褸
(
ぼろ
)
や
襁褓
(
おしめ
)
や、並べてある駄菓子や
荒物
(
あらもの
)
など、
陰鬱
(
いんうつ
)
な
小家
(
こいえ
)
は不規則に限りもなく引きつづいて
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
既に久しく學校の宿直室を自分等の家として居るので、村費で雇はれた小使が
襁褓
(
おしめ
)
の洗濯まで其職務中に加へられ、
牝鷄
(
ひんけい
)
常に曉を報ずるといふ内情は、自分もよく知つて居る。
雲は天才である
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
そんな事には頓着なく
襁褓
(
おしめ
)
や愛国婦人会の話を持出すのと比べて大変な相違である。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
通されたのは二階の六畳の書斎であったが、庭を
瞰下
(
みおろ
)
すと、庭には樹から樹へ
紐
(
ひも
)
を渡して
襁褓
(
おしめ
)
が幕のように列べて
乾
(
ほ
)
してあって、
下座敷
(
したざしき
)
で
赤児
(
あかご
)
のピイピイ泣く声が手に取るように聞える。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
銀子は物干へ出られる窓の
硝子窓
(
ガラスまど
)
を半分開けて、
廂間
(
ひさしあい
)
から
淀
(
よど
)
んだ空を仰ぎ
溜息
(
ためいき
)
を
吐
(
つ
)
いたが、夜店もののアネモネーや、桜草の
鉢
(
はち
)
などがおいてある干場の
竿
(
さお
)
に、
襁褓
(
おしめ
)
がひらひらしているのが目についた。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
苔
(
こけ
)
の生えた
鱗葺
(
こけらぶ
)
きの
屋根
(
やね
)
、
腐
(
くさ
)
つた土台、傾いた柱、
汚
(
よご
)
れた
板目
(
はめ
)
、
干
(
ほ
)
してある
襤褸
(
ぼろ
)
や
襁褓
(
おしめ
)
や、
並
(
なら
)
べてある
駄菓子
(
だぐわし
)
や
荒物
(
あらもの
)
など、
陰鬱
(
いんうつ
)
な
小家
(
こいへ
)
は不規則に限りもなく引きつゞいて
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
長屋中の
女房
(
にようぼ
)
が長雨に着古したつぎはぎの汚れた襦袢や腰卷や、又は赤兒の
襁褓
(
おしめ
)
や下駄
傘
(
からかさ
)
、臺所の流しなぞを、氣の
狂
(
ちが
)
つたやうな
凄
(
すさま
)
じい勢で、洗つたり干したりして、大聲に話して居る
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
“襁褓”の意味
《名詞:おしめ》
「おしめ」を参照。
《名詞:きょうほう》
赤子を包む産着。
おむつ。おしめ。
《名詞:むつき》
「むつき」を参照。
(出典:Wiktionary)
“襁褓(おむつ)”の解説
おむつ(御襁褓)、は、尿や便を捕捉するため下腹部に着用する布や紙である。使用形態や元々の素材から大きく布おむつと使い捨ておむつ(紙おむつ)に分類される。
(出典:Wikipedia)
襁
漢検1級
部首:⾐
16画
褓
漢検1級
部首:⾐
14画
“襁褓”で始まる語句
襁褓乞
襁褓艸
襁褓敝衣