わざ)” の例文
我答へて彼に曰ひけるは、かれら逐はれしかども前にも後にも四方より歸れり、されど汝のともがらは善くこのわざを習はざりき 四九—五一
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
天晴あつぱ一芸いちげいのあるかひに、わざもつつまあがなへ! 魔神まじんなぐさたのしますものゝ、美女びじよへてしかるべきなら立処たちどころかへさする。——
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
信長の側にも、そういうわざけている男がいた。しかし、誰がその役目をしているか、近侍にも分らなかった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
心のうち一二〇いかばかりすずしからんとはうらやみぬるぞ。かくいへど富貴のみちはわざにして、一二一たくみなるものはよくあつめ、不せうのものは瓦の解くるよりやすし。
公儀にかせられても、この両名家の断絶をおしんで、五ヶ年を限って、両家争いの元なる五貫目玉五十丁撃のわざを磨かせ、将軍御前に技を闘わせた上、五貫目玉五十丁撃に成功した者に
江戸の火術 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
我はフェデリーゴの心のかぎを二ながら持てる者なりき、我これをめぐらして或ひは閉ぢ或ひは開きそのわざ巧みなりければ 五八—六〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
あわや台座に留まろうとして、わざの施す隙なきさまに、そのまま仰向あおむけに黄昏たそがれの地に吸われたが、白脛しらはぎを空に土をて、つまをかくして俯向うつむけになって倒れた。
以て治めるゆえ、兵馬の強大はらんとか申したが、もし曹操が西蜀を望み、この士馬精鋭をもって押しよせたときは如何。蜀人みな鼠の如く、逃げ潜むわざでも自慢するか
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我に二六かてからんとならば二七力量りきりやうの男どもこそ参りつらめ。你がやうの二八げたるさましてねぶりをおそひつるは、きつねたぬきなどのたはむるるにや。二九何のおぼえたるわざかある。
われさとりわざをもて汝をこゝにみちびけり、今より汝は好む所を導者となすべし、汝けはしき路を出で狹き路をはなる 一三〇—一三二
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
縁日かせぎ門附かどづけも利かない気で、へべれけの愛吉が意にさからい、あたいを払わなければわざは見せぬ、おあしがなくっていて、それでたってすごい処を聞きたいなら、さきに立って提灯ちょうちんは持たずとも
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
されどこゝを治むる女王の顏燃ゆることいまだ五十度いそたびならぬに、汝自らそのわざのいかに難きやをしるにいたらむ 七九—八一
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
おお、そこで、また辛いおもいをさせられるか。まずまず、それは後でゆっくり聞こう。……そのおわし同一おんなじじゃ。天魔でなくて、若い女が、わざをするわと、仰天したので、手を留めて済まなんだ。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)