おお)” の例文
…………きずつく者はなはだおおし。溺水できすいして死する者的数てきすうを知らず。故にあえて枚陳せず。ただ二賊首をもって東門に斬懸し、もって賊衆を
撥陵遠征隊 (新字新仮名) / 服部之総(著)
はやる馬の口を押えて「敵おおく味方少くあまつさえ路狭くて一時に多勢を押し出す事が出来ないのに、どうして正面からの戦が出来よう」
桶狭間合戦 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
宮中の美人、皆侵掠され、百余日の後、懐妊する者おおく、いで往きて王にもうし、罪咎ざいきゅうを免れんとねがう。王これを聞きおわりて、心大いに悦ばず、云々。
衛士甚だおおかりしも、門者してこれとどめ、昺と貴とのみを入る。昺と貴との入るや、燕王はつえいてし、宴を賜い酒をり宝盤にうりを盛っていだす。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
己酉つちのととり(二十八日)……さらに日本やまと乱伍らんご中軍ちゅうぐんの卒を率いて進みて大唐の軍をつ。大唐、便すなわち左右より船をはさみてめぐり戦う。須臾とき官軍みいくさ敗績やぶれぬ。水におもむきて溺死しぬる者おおし。
金将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
吾を以てこれをはかるに、我が国に乞丐きっかい甚だおおければ、彼れ必ず貧院を起こし、棄児甚だ衆ければ、彼れ必ず幼院を設け、疲癃ひりゅう残疾、貧賤にして治療するあたわざるもの甚だ衆ければ
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
このおおき釣師、見物人の外に、一種異りたる者の奔走するを見る。長柄ながえ玉網たまを手にし、釣り上ぐる者を見るごとに、即ち馳せて其の人に近寄り、すくひて手伝ふを仕事とする、奇特者きとくしゃ? なり。
東京市騒擾中の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
一時優の救援にって衣食するもの数十人のおおきに至ったそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
削らざればすなわち朝廷の紀綱立たず。之を削ればしんしたしむの恩をやぶる。賈誼かぎ曰く、天下の治安をほっするは、おおく諸侯を建てゝその力をすくなくするにくは無しと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
読書功なく樸学三十年、滅賊計を失す猛気二十一回。人、狂頑とそしり、郷党、おおく容れず。身は家国に許し、死生は吾れ久しくひとしうす。至誠にして動かざるはいにしえより未だこれ有らず。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
おおく諸侯を建て、分ちて子弟を王とすれば、皇族天下に満ちて栄え、人臣いきおいを得るのすき無し。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)