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虎口
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ここう
ふりがな文庫
“
虎口
(
ここう
)” の例文
にも
拘
(
かゝ
)
わらず
虎口
(
ここう
)
を脱したのは、憎まれる半面にそれだけ惜しまれてもいたのであろうが、一つには彼の気転と才智とに依るのである。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
虎口
(
ここう
)
に似た湾外へ、寺船の帆はうすれ出している。しかも数十艘の舟手は、なお送り狼のように、
知夫
(
ちぶ
)
の
雉
(
きじ
)
ヶ鼻へんまで尾行していた。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
虎口
(
ここう
)
に入らずんば
虎児
(
こじ
)
を得ずっていう東洋の格言があらあ、俺たちはキッドの
財宝
(
ざいほう
)
を得るために恐竜の穴に入ったんだ。大冒険なんだぜ、命がけの探検なんだぜ。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
小平太はまず
虎口
(
ここう
)
を
免
(
のが
)
れたような気がした。が、ここでひとつ落着いたところを見せておこうと
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
みどりのためには昨夜の泥棒は、
虎口
(
ここう
)
を救うてくれた恩人であります。この与八があの時、泥棒! と叫んでくれたればこそ、おかげで恥かしい目をのがれたものです。
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
女郎屋の朝の居残りに
遊女
(
おんな
)
どもの顔を
剃
(
あた
)
って、
虎口
(
ここう
)
を
遁
(
のが
)
れた床屋がある。——それから見れば、旅籠屋や、温泉宿で、上手な仕立は
重宝
(
ちょうほう
)
で、六の名は
七
(
しち
)
同然、
融通
(
ゆうずう
)
は利き過ぎる。
浮舟
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と
囁
(
ささや
)
き合ったので、私はモウ一度振り返ってその横顔を記憶に止めると、何かしらヒヤリとしながら、大急ぎで人混みに紛れ込んだ。ちょっと
虎口
(
ここう
)
を逃れたような気持ちになって……。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
帰つた時、まあ
今日
(
けふ
)
も
虎口
(
ここう
)
を
逃
(
のが
)
れて
難有
(
ありがた
)
かつたと感謝したぎり、放り
出
(
だ
)
して仕舞つた。
父
(
ちゝ
)
からはまだ
何
(
なん
)
とも催促されないが、此二三日は又青山へ呼び
出
(
だ
)
されさうな気がしてならなかつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
いつも大したこともなくモスケー・ストロムの
虎口
(
ここう
)
を通りぬけていました。
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
気も
逆上
(
のぼ
)
せてうろ/\して居ります処を勘太につけられ、ヤッと
虎口
(
ここう
)
をのがれたと思ってるに
停車場
(
ステーション
)
へつくと直ぐ、こゝまでも執念ぶかく
尾
(
つ
)
けて参り、逃げようと云ったッて逃さぬやらぬと
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
実はそれがために、かえって
虎口
(
ここう
)
にはいるような事ができたのである。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
けれどももうそこに着いた以上は
虎口
(
ここう
)
に入ったようなものですから逃げ出そうたって到底駄目だ。殺されるようなら安心してその巡礼の刀の
錆
(
さび
)
になってしまうより外はないと決心して泊りました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
お秋は
虎口
(
ここう
)
をのがれでもしたやうに、店の方へ引返します。
銭形平次捕物控:161 酒屋忠僕
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
お葉は虎ヶ窟から
虎口
(
ここう
)
を逃れた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「むむ。ここの一難は去ったとしても、さきゆき、またも
虎口
(
ここう
)
に見舞われたら何もなるまい。一存でよいようにしておけ。申しつけたぞ」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今一度君にまみえ奉らんと、
虎口
(
ここう
)
の難をのがれ、漸くこれまで来りしなり、おもひもよらず隣家にて其方のねものがたりを聞くうれしさ、これ
偏
(
ひと
)
へに仏神のお引合せならん
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
虎口
(
ここう
)
を
免
(
のが
)
れたる
顏色
(
かほつき
)
の、
何
(
ど
)
うだ、
北八
(
きたはち
)
恐入
(
おそれい
)
つたか。
餘計
(
よけい
)
な
口
(
くち
)
を
利
(
き
)
くもんぢやないよ。
弥次行
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
凡そ英雄豪傑の伝記を読むと、何となく天がその人の運命に特別な
冥護
(
めいご
)
を垂れ、彼はそのお蔭で、しば/\常人の企て及ばざる危地を蹈みながら無事に
虎口
(
ここう
)
を脱出するかの如くに見える。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
帰った時、まあ今日も
虎口
(
ここう
)
を逃れて
難有
(
ありがた
)
かったと感謝したぎり、放り出してしまった。父からはまだ何とも催促されないが、この二三日は又青山へ呼び出されそうな気がしてならなかった。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
虎口
(
ここう
)
はまだ脱したとはいえないぞ。
弛
(
ゆる
)
むな、居眠るな、
渇
(
かつ
)
を考えるな。——ただ生きよう生きようという大慾を出せ」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何にしても庄造は、自分がゐたら中々福子の怒り方が此のくらゐでは済むまいと思ふと、危く
虎口
(
ここう
)
を逃れた気がして、スハといへば
戸外
(
おもて
)
へ飛び出せるやうに、身構へをしながら立つてゐると
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
もう宮門内だ、もう大丈夫と、菊王も車上の俊基も、ほっと
虎口
(
ここう
)
をのがれた思いがしていたにちがいない。
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何にしても庄造は、自分がゐたら中々福子の怒り方が此のくらゐでは済むまいと思ふと、
危
(
あやう
)
く
虎口
(
ここう
)
を逃れた気がして、スハといへば
戸外
(
おもて
)
へ飛び出せるやうに、身構へをしながら立つてゐると
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
扈従
(
こじゅう
)
の武者に、捕まり損ね、覚然は、一生に一度の生命びろいをして、
虎口
(
ここう
)
をのがれたというのである。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何にしても庄造は、自分がいたら中々福子の怒り方がこのくらいでは済むまいと思うと、危く
虎口
(
ここう
)
を逃れた気がして、スワといえば
戸外
(
おもて
)
へ飛び出せるように、身構えをしながら立っていると
猫と庄造と二人のおんな
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
全山
(
ぜんざん
)
を
城地
(
じょうち
)
と見なし、十七
町
(
ちょう
)
を
外郭
(
そとぐるわ
)
とし、
龍眼
(
りゅうがん
)
の地に
本丸
(
ほんまる
)
をきずき、
虎口
(
ここう
)
に八門、
懸崖
(
けんがい
)
に
雁木坂
(
がんぎざか
)
、五
行
(
ぎょう
)
の
柱
(
はしら
)
は
樹林
(
じゅりん
)
にてつつみ、
城望
(
じょうぼう
)
のやぐらは
黒渋
(
くろしぶ
)
にて
塗
(
ぬ
)
りかくし
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今夜
虎口
(
ここう
)
はひとまず
遁
(
のが
)
れ得たにしろ、お綱がお三輪と乙吉に会ってから、一そう切実になった悪と善心の闘い、恋と環境の添わぬなやみは、かれの行くところまた走るところへ
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あぶない
虎口
(
ここう
)
」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
虎口
(
ここう
)
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“虎口”の意味
《名詞》
虎の口。
危険な所。危機。
(出典:Wiktionary)
“虎口”の解説
虎口(こぐち)とは中世以降の城郭における出入り口のことで、「こぐち」には狭い道・狭い口という意味がある。「小口」とも書く。「虎口(ここう)」とよむ場合は、中世の戦場や陣地における危険な場所を意味するもののこと。
(出典:Wikipedia)
虎
常用漢字
中学
部首:⾌
8画
口
常用漢字
小1
部首:⼝
3画
“虎”で始まる語句
虎
虎杖
虎視眈々
虎斑
虎髯
虎狼
虎列剌
虎列拉
虎耳草
虎穴