藥研やげん)” の例文
新字:薬研
くもくらからう……みづはものすごしろからう……そら所々ところ/″\さつ藥研やげんのやうなひゞがつて、あられなかから、銀河ぎんがたまくだくがごとほとばしる。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これは母屋おもやの方に詰めきりで、藥研やげんで藥を拵へる仕事から使ひ走り、奉公人のやうに働いてゐる。
仕つりぬ只今たゞいま藥研やげんに掛ますあひだ霎時しばらくお待ち下されと云つゝ夫を和吉に遞與わたし製造せいざう方へ廻させしは多少をろんぜぬ商個あきうどの是ぞ實に招牌かんばんなるさて細末さいまつの出來る間と元益に四方八方よもやまの話しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたし一層いつそ藥研やげん生肝いきぎもをおろされようとも、お醫師いしや母屋おもやはうまうかとおもひました。和尚をしやう可厭いやらしさに。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
胡粉ごふんわかれたみづかげは、しゆ藥研やげん水銀すゐぎんまろぶがごとく、ながれて、すら/\といとくのであつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
すぐにれられてまゐつたんです。生肝いきぎも藥研やげんでおろされるはうがまだしもとおもひました、仙人せんにんれられて——何處どこくのかとぞんじますと、田圃道たんぼみちを、わたしまへたせて、仙人せんにんあとから。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
地獄ぢごくぶやうにすべむと、あを火鉢ひばち金色きんいろひかつて、座布團ざぶとん一枚いちまい、ありのまゝに、萌黄もえぎほそ覆輪ふくりんつて、しゆとも、とも、るつぼのたゞれたごとくにとろけて、燃拔もえぬけた中心ちうしんが、藥研やげんくぼんで
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)