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なわしろ
ふりがな文庫
“
苗代
(
なわしろ
)” の例文
寂しいけれども冬でも白い漏斗形の花をつけている
苗代
(
なわしろ
)
萸黄
(
ぐみ
)
の枝をひと束ほどに折り集め、材木店の勝手口にそっと置いて来ました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「一応訊いてみましたが、白ばっくれて言やしません。二つ三つ引っ叩いたら、
背後
(
うしろ
)
の
苗代
(
なわしろ
)
の中とかなんとか言うに決ってますよ」
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
千葉県の農村などは
苗代
(
なわしろ
)
の
種蒔
(
たねま
)
き日に、子どもは
焼米袋
(
やきごめぶくろ
)
というのをこしらえてもらって首にかけて村中をもらいあるいた。
こども風土記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
苗代
(
なわしろ
)
に種を
蒔
(
ま
)
くに
先
(
さきだ
)
って、籾種を水に浸して置く。普通に「種浸」とか「種かし」とかいうのがそれで、浸す場所によって「
種井
(
たない
)
」とも「
種池
(
たないけ
)
」とも呼ばれている。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
今までの
出水
(
でみず
)
もそこだけは防ぎ止め、冬には土を耕し、春には
苗代
(
なわしろ
)
に
種子
(
たね
)
を
蒔
(
ま
)
き水を引き、この初夏には、わずかながら新田に青々と稲もそよぎ、麻も麦も一尺の余も伸びていた。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
すぐ下にはお
苗代
(
なわしろ
)
や
御釜
(
おかま
)
火口湖がまっ
蒼
(
さお
)
に光って
白樺
(
しらかば
)
の林の中に見えるんだ。面白かったねい。みんなぐんぐんぐんぐん走っているんだ。すると頂上までの処にも一つ坂があるだろう。
風野又三郎
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
燕
(
つばめ
)
の夫婦が一つがい何か
頻
(
しき
)
りと語らいつつ
苗代
(
なわしろ
)
の上を
飛
(
と
)
び
廻
(
まわ
)
っている。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
麦の穂は一面
白金色
(
はくきんしょく
)
に光り、
蛙
(
かわず
)
鳴く田は
紫雲英
(
れんげそう
)
の
紅
(
くれない
)
を敷き、
短冊形
(
たんざくがた
)
の
苗代
(
なわしろ
)
には最早
嫩緑
(
どんりょく
)
の
針
(
はり
)
がぽつ/\芽ぐんで居る。
夕雲雀
(
ゆうひばり
)
が鳴く。日の入る甲州の山の方から
塵
(
ちり
)
のまじらぬ風がソヨ/\顔を吹く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
苗代
(
なわしろ
)
やうれし顔にも鳴く蛙
許六
(
きょりく
)
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
これについて思い合わされる一つの事実は、以前は
越後
(
えちご
)
では好いおしめりをもとめるために、田植のはじめ
苗代
(
なわしろ
)
のおわりころに、
農
(
のう
)
やすみの日が何日かあった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
午後
筍買
(
たけのこか
)
いに隣村まで出かける。筍も末だ。其筈である、
新竹
(
しんちく
)
伸
(
の
)
びて
親竹
(
おやだけ
)
より早一丈も高くなって居る。往復に
田圃
(
たんぼ
)
を通った。
萌黄
(
もえぎ
)
に
萌
(
も
)
え出した
苗代
(
なわしろ
)
が、
最早
(
もう
)
悉皆
(
すっかり
)
緑
(
みどり
)
になった。
南風
(
みなみ
)
がソヨ/\吹く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
少なくともその一部では竿を用いなかったのである。木曾の村々でも家の戸口に
山躑躅
(
やまつつじ
)
を打付けてあるのを自分は目撃した。伊那谷ではこれを後に
苗代
(
なわしろ
)
に立てるという。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
其
(
その
)
鼠の残りども
悉
(
ことごと
)
く陸へ上り、南部秋田領まで逃げ散り、
苗代
(
なわしろ
)
を荒し竹の根を食い、或は草木の根を掘り起し、
在家
(
ざいけ
)
に入りて一夜のうちに五穀を
損
(
そこ
)
なうこと際限なかりし。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
それから
苗代
(
なわしろ
)
のこしらえがすぐにつづき、
籾種
(
もみだね
)
をまいてしまった日にも小さい祭りがあり、
種籾
(
たねもみ
)
のあまりを
焼米
(
やきごめ
)
にして、袋に入れてもらって子どもらはよろこんで
噛
(
か
)
んでいる。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
苗代
(
なわしろ
)
の真中であったのが、後々
水口
(
みなくち
)
から田の
畔
(
くろ
)
の一部に移り、さらに家の中で
臼
(
うす
)
を伏せ
箕
(
み
)
をあおのけ、または床の間や神棚の上でも、祭をするようになったものと私は見ている。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
落花と
苗代
(
なわしろ
)
との
艶麗
(
えんれい
)
なる暮春の風景に対して、是はまた意外なる寂しい反映である。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
新らしい
今年藁
(
ことしわら
)
をもって念入りに俵を編み、それに次の
苗代
(
なわしろ
)
の
種籾
(
たねもみ
)
を入れて、
年越
(
としこし
)
にはそれを
床
(
とこ
)
の前、神棚の下、または大黒柱の根もととか、
臼柱
(
うすばしら
)
の片脇の臼の上とかに積み上げて
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
諏訪では是をまたヒタキジロとも
謂
(
い
)
うのを見ると、ヒジロはすなわち火を
焚
(
た
)
く
場処
(
ばしょ
)
、ちょうど英語の Fireplace と同格の語と考えられる。シロの古い用法は
苗代
(
なわしろ
)
に
遺
(
のこ
)
っている。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
福島県
平
(
たいら
)
附近の例をいうと、正月十一日の農立ての日の朝、今年
苗代
(
なわしろ
)
にしようと思う田に行って
初鍬
(
はつぐわ
)
をいれ、三所に餅と
神酒
(
みき
)
・
洗米
(
あらいよね
)
とを供えて、これを
早稲
(
わせ
)
・
中稲
(
なかて
)
・
晩稲
(
おくて
)
の三通りに見立てて置く。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
やがて
閑古鳥
(
かんこどり
)
がしきりに啼いて、水田
苗代
(
なわしろ
)
の支度を急がせる。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
鷺
(
さぎ
)
も
烏
(
からす
)
も
苗代
(
なわしろ
)
を荒らすによって、農民はこれを憎んでいる。
野草雑記・野鳥雑記:02 野鳥雑記
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“苗代”の解説
苗代(なわしろ、なえしろ)は灌漑によって育成するイネの苗床である。
もともとは種籾(イネの種子、籾殻つきの米粒)を密に播いて発芽させ、田植えができる大きさまで育てるのに用いる狭い田を指した。
(出典:Wikipedia)
苗
常用漢字
中学
部首:⾋
8画
代
常用漢字
小3
部首:⼈
5画
“苗代”で始まる語句
苗代田
苗代川
苗代掘
苗代寒
苗代掻
苗代時
苗代種蒔