もゝ)” の例文
かれはそれを四つにいて、醫者いしやがしたやうにしろ練藥ねりぐすりもゝうへでガーゼへつて、卯平うへい横頬よこほゝつた曝木綿さらしもめんでぐる/\といた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
見るからが人の好さ相な、丸顏に髭の赤い、デップリと肥つた、色澤つやの好い男で、襟の塞つた背廣の、もゝの邊が張り裂けさうだ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
しん少主せうしゆとき婦人ふじんあり。容色ようしよく艷麗えんれい一代いちだいしかしておびしたむなしくりやうあしともにもゝよりなし。常人じやうじんことなるなかりき。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と心を締めて居るうちに、漸々だん/″\眠くなって来たから、もゝつめッたり鼻をねじったりして忍耐がまんしても次第に眠くなる、酒を飲んで居るからいけません。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
常子は着物をきてゐる時には首筋から肩へかけて痩過ぎたやうに弱々しく見えながら、裸体になると、下腹やもゝの肉付の逞しい事、きめがこまかくて色の白い事。
来訪者 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
太いもゝをぴつたりあはせて、タイルの上に坐つてゐる大柄な裸は、水浴をしてゐる時のニウの裸体にも似てゐた。富岡はふつと、ニウのおもかげを思ひ浮べた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
ほねといつても、たゞ頭蓋骨ずがいこついたゞき、いはゆるあたまさら部分ぶぶんひだりもゝほね一部分いちぶぶん臼齒きゆうしたばかりでありますが、これを調しらべてると、どうしても今日こんにち類人猿るいじんえんとはちがつて
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
顏はさうでもなかつたけれど、といつても、二重顎は一重になり、裸體になつた時など肋骨が蒼白い皮膚の上に層をなして浮んで見えた。腰やもゝのあたりは乾草のやうにしなびてゐた。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
しなは二三けんそつちこつちとあるいててからとなりもんくゞつたのであつた。傭人やとひにん大釜おほがましたにぽつぽといてあたつてる。風呂ふろからても彼等かれらゆだつたやうなあかもゝしてそばつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)