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肢
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あし
ふりがな文庫
“
肢
(
あし
)” の例文
お婆さんはまずブラシで、メリーの頭から、頸、肩、背、腰、
肢
(
あし
)
という順に丹念にマッサージをして、それから
金櫛
(
かなぐし
)
で丁寧に
梳
(
す
)
いた。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
「彫れますかな? 本式の親分になる
印
(
しるし
)
に。……そしたら、僕も、やっぱり、龍を彫ります。そして、百合の花を
肢
(
あし
)
に握らせますよ」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
みごとな
角
(
つの
)
、
逞
(
たくま
)
しいからだ、雪をかぶっているためか、
顎
(
あご
)
の白い
斑毛
(
まだらげ
)
が汚れた灰色に見える。動作は重おもしく、
肢
(
あし
)
のはこびも鈍いようだ。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
前
肢
(
あし
)
の爪アナグマに比し短し。また曰く、アナグマ一名ムジナ、
鼬
(
いたち
)
科。狸に似たる黒色のものあり、地方によりてはムジナと称し狸と混同す。
狸とムジナ
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
ブルダンは
吃驚
(
びっくり
)
して払いのけた。けれどもこの怪物はしつこく舞い戻って来ては、その有毒な
肢
(
あし
)
を踏んばって一生懸命に彼の唇に
縋
(
すが
)
りついた。
青蠅
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
▼ もっと見る
裂かれた裾の下にはっきりと意識される彼女の
肢
(
あし
)
の曲線を、溶けてしまうように固く腕に抱きしめながら、彼は夢中で人混みの中へ飛び下りた。
橋
(新字新仮名)
/
池谷信三郎
(著)
たいていは馬の
肢
(
あし
)
が折れるかと思うくらい、重い荷を積んでいるのだが、傾斜があるゆえ、馬にはこの橋が
鬼門
(
きもん
)
なのだ。
馬地獄
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
紙の上へピンで留められた巨大な昆虫の
肢
(
あし
)
のように、虚空を掻きむしって、醜怪の限りを尽した線を描いて居ります。
死の舞踏
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
この虻の大きな図体の上に馬乗りになり、
肢
(
あし
)
でも首でも尻でも身体全体で抱へ込むやうにし、攻撃を加へながら
毬
(
まり
)
のやうになつて落下して来たのである。
ジガ蜂
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
店座敷の障子には、裏の竹林の方からでも飛んで来たかと思われるようなきりぎりすがいて、細長い
肢
(
あし
)
を伸ばしながら静かに障子の骨の上をはっている。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
無残にも軟らかな
肢
(
あし
)
を引きちぎったり、あるいは苔の上を、滑べるようにして岩礁を乗り越え、噴き水を避ける時には、たぶん銀の
腮
(
あぎと
)
や、貝殻のような耳が
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
しかしよく見ると、その怪物は大きな
翅
(
はね
)
があった。鏡のような眼があった。鉄骨のような
肢
(
あし
)
があって、それに兵士の剣のような鋭い毛がところきらわず生えていた。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
針の痕は次第々々に巨大な
女郎蜘蛛
(
じょろうぐも
)
の
形象
(
かたち
)
を
具
(
そな
)
え始めて、再び夜がしら/\と白み
初
(
そ
)
めた時分には、この不思議な魔性の動物は、八本の
肢
(
あし
)
を伸ばしつゝ、背一面に
蟠
(
わだかま
)
った。
刺青
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それは、その変態に必要な材料を集めるのだ——その材料といふのは、翅、触角、
肢
(
あし
)
、になるので、それはみんな幼虫にはないが、昆虫は持つてゐなければならないのだ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
すると奇妙なものが、庭の
柿
(
かき
)
の木につないであつた。初め栄蔵は、犬だと思つて何気なく通りすぎようとした。しかしそれは犬ではなかつた。犬にしては、
肢
(
あし
)
が細く長すぎた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
柔らかな
肢
(
あし
)
でも手でも、赤くふくれたところをナースチャにつきつけて云うのであった。
赤い貨車
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
やがてだんだん贅沢になって彼の食物をおもちゃにしだし、粒の内側だけを食べる。彼の一本の
肢
(
あし
)
で薪の上に釣合いを取られていた穂は彼の不注意な支えを抜けて地面に落ちた。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
だからみんな、眼を据えて、牛の
肢
(
あし
)
の筋肉の微動を注視している。
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
肢
(
あし
)
を一本
咬
(
か
)
み切って快感が
貪
(
むさぼ
)
れれば、虎狼は直ぐやります。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
人
來
(
く
)
れば
肢
(
あし
)
を
縮
(
ちゞ
)
め
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
(いつか、勝則が、
彫青
(
いれずみ
)
を入れるなら、やっぱり龍を彫って、その
肢
(
あし
)
に百合の花を握らせる、なんて、いうとったことがあるが、……)
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
と云うのは、いかなる魔の
所業
(
しわざ
)
であろうか、戸板の上の骸骨には、
肢
(
あし
)
首が
括
(
くく
)
り合わされていて、それが人魚を
象
(
かた
)
どる、あの図紋のように感じられたからである。
人魚謎お岩殺し
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
第一号という檻の中にバタバタ飛翔している
烏
(
からす
)
ぐらいの大きさの黒い鳥——と思ったのが目の誤りで、よくよく見ると身体の形や
翅
(
はね
)
や
肢
(
あし
)
の様子から知れるとおり、それは
黒蠅
(
くろばい
)
だった。
地球盗難
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
みごとな枝角と、
斑
(
まだら
)
毛のある大きな
躰躯
(
たいく
)
と、そしてほっそりと
敏捷
(
びんしょう
)
そうな
肢
(
あし
)
とを。
若き日の摂津守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
此前見た時の神妙な姿と違つて、思ひきり紅白粉の薄化粧をした上、
輪袈裟
(
わげさ
)
どころか燃え立つやうな
長襦袢
(
ながじゆばん
)
一枚になつて、胸も
肢
(
あし
)
も淺間しいまでに取亂したまゝ、その左の乳のあたりへ
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
恐ろしく巨大なその
天鵞絨
(
びろうど
)
色の
生物
(
いきもの
)
が、逞ましい毛むくじゃらな
肢
(
あし
)
を毛布にふん張って、
寂然
(
ひっそり
)
した
沈黙
(
しじま
)
にかさこそと音を立てながら、死人の不気味な顔へのっそりと這いあがって来たのであった。
見開いた眼
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
「さよう、まったく神秘的な事件です」と法水は伸ばした
肢
(
あし
)
を縮めて、片肱を卓上に置いた。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
この前見たときの神妙な姿と違って、思いきり紅白粉の薄化粧をした上、
輪袈裟
(
わげさ
)
どころか燃え立つような
長襦袢
(
ながじゅばん
)
一枚になって、胸も
肢
(
あし
)
も浅間しいまでに取乱したまま、その左の乳のあたりへ
銭形平次捕物控:182 尼が紅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「その
肢
(
あし
)
には、なにをつかむ?」
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
麻痺が薄らいでいたと云う証拠には、腕が内側に
捻
(
ねじ
)
れて指先が
鉤
(
かぎ
)
形になっている。また、そう云う時には、
肢
(
あし
)
を曲げるのに困難を覚えるので、あの跫音をそれと想像させた環状歩行が起って来るのだ。
聖アレキセイ寺院の惨劇
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
肢
常用漢字
中学
部首:⾁
8画
“肢”を含む語句
四肢
前肢
肢体
後肢
下肢
肢態
両肢
二肢
手肢
肢體
肢節
四肢胸腰
容貌肢体
右肢
右上肢
片肢
翼肢竜
其肢体
肢体信号
肢勢
...