かんげ)” の例文
「そんなこと言ったって、じんつあまや。何しろまだ十六だもの……裁縫てどなれえにもやんねえのだもの、かんげえで見ればこのわらしも……」
緑の芽 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
今からかんげえてみるとあの時はヨッポド頭が変テコになっていたんですね。やっぱり地球癲癇てんかんの続きだったかも知れませんでしたがね。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
別段、おめえの機嫌なんぞ、取るわけじゃなえ。変なことなんぞ、ちっともなえじゃないけゃ! わしは先から、そうかんげえとったんじゃ。
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
たか/″\来て四五十人のつもりだったからそんなこともかんげえたんだ。——が、いざ当日になると来たのがそのざっと五倍……
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
多「それじゃアお隅さん、本当に旦那の敵いつてえかんげえもなえ、惣吉さんもお母様っかさまも置いてくというのかア」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「煙草の煙をみしめるのは新手ですね。もっともあっしなんかは、猫が水をむ時のように、酒をめて呑むてをかんげえた。一合いちごうあると請合うけあい一ときは楽しめますぜ」
適当とかんげえるか考えねえかってことの区別をつけなかったんでしょう。で、船長、あんたはパイプをやろうとしていなさる様子だから、わっしも遠慮なくやりますぜ。
まあようくかんげえて見てくんねえか、自分の息子が人の大事の娘を引張り出して隨分世間へも外聞を曝して揚句の果が孕ませてそれでこつちゞや嫁に貰ふことも出來ねえが
芋掘り (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「へい、ですかい屑屋ですかい。お待ちなせえ、待ちねえよ、こううめえことをかんげえた。一番、こう、ふんどし切立きったてだから、恥は掻かねえ、素裸すっぱだかになって、二階へ上って、こいつを脱いで、」
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
しかしスッカリくたびれ切って、物をかんげえる力も何もなくなっていたあっしにはソレが何の意味なんだかサッパリわかりませんでした。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「わしは、組合へ顔出しゅせんならんけえ、こいで帰る、帰るがしかし……おめえはなんとかんげえるか知らんが、ついでだからもう一言いうとこう」
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
かんげえで見れば、可哀想ださ。ほんでも、朝っぱらから、寝床の中で、書物を読んでるなんて、百姓の娘が……」
緑の芽 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
年に一度も小川村へ往って右内という人の法事供養をさせてくれるようにわれに頼むのだが、己のかんげえは悪いか
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「己のかんげえじゃあ、」と彼はとうとう言い出した。——「己の考えじゃあな、ホーキンズ船長せんちょ、お前だって幾らか岸に着きてえんだろ、なあ。で、相談をするとしようじゃねえか。」
ちつとのことであとかんげへてちやつまんねえもんだから、なあこつちのおとつゝあん
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そう聞くとあっしも頭のしんがジインとしてかんげえ込んじまいました。口では強いことを云いながら心の奥ではやっぱり心配していたんですね。
人間腸詰 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
なんにも構わずにへっついめえにぶっつわってゝ宜えと思わしゃるか、われが曲った心に識別するからういう間違った事をいうだ、コレよくかんげえて見ろよ、汝は粂どんを憎むから
闇夜の梅 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ほかのこととは違うけん、かんげえ込むのは無理もなえが、あの兄さんに限って、そねえなバカんことのあろうはずがなえ……困ったのう、俺、つまんねえこといわにゃよかったなア
仁王門 (新字新仮名) / 橘外男(著)
「だれもお前に無理強いはしねえ。とくかんげえろよ。己たちぁ一人だってお前をせき立てはしねえつもりだ、兄弟。お前と一緒にいると愉快で時のたつのがわからねえくれえだからなあ。」
マア何ういうかんげえか知んねえが、先方むこうへ往って話いしたとこが、元さむれえだから駄目だよ、商売あきねえなどはしたくはねえが、食い続きが出来ねえからするんだ、廉く売ったッて
仕様がねえから男女ふたりで身い投げておっんでしまおうとか、林の中へ入って首でもくゝるべえというような、途方もねえかんげえを起して、とんでもねえ間違まちげえが出来るかも知んねえ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
馴染なじみもねえ所へ預けるのも心配しんぺえだから、身代の手堅い処がと、段々かんげえたところが、春見様が宿屋店やどやみせを出しておいでなさると云うから、買出かいだしするにも安心とかんげえてまいりました
ず禁裏さまが出来ても、お政治をなさる公方様が出来ても、此の美作一国の御領主さまが出来やしても、勝山さまでも津山さまでも、皆人間が御政治ごせいじるのかと私はかんげえます
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
土塊つちッころと人間と同じ様に心得ていると云われたら、其の東山義政のお名前までもけがすような事になって、貴方あんたは済むめえかとかんげえますが、何卒どうかして此の風儀を止めさせてえと思っても
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
母「困るなア、子供だア、母様塩梅あんべえわりいだから、薬大事でいじだからてえかんげえもなえで」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
百「おらアはア時々木を切りに来るが、斯んなハア詰らねえ処を何だって江戸者は銭イつかって見に来て、焚火イなどして酒エくん飲んでけえる人なんぞが有るけれど、かんげえると可笑しいだよ」
甚「兄い何をかんげえてるんだ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)