緋縅ひをどし)” の例文
「その中に、緋縅ひをどしよろひ着たる武者三人、網代あじろに流れて浮きぬ沈みぬゆられけるを——何とかのかみ見給ひて、かくぞ詠じ給ひける。」
武者窓日記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
緋縅ひをどしの鎧や鍬形くはがたかぶとは成人の趣味にかなつた者ではない。勲章も——わたしには実際不思議である。なぜ軍人は酒にも酔はずに、勲章を下げて歩かれるのであらう?
侏儒の言葉 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
いま山中さんちゆうむ熊とは違つて、北海道産ほつかいだうさんで、うしても多く魚類ぎよるゐしよくするから、毛が赤いて。甚「へえー、緋縅ひをどしよろひでもひますか。真「よろひぢやアない、魚類ぎよるゐ、さかなだ。 ...
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
時鳥ほとゝぎす矢信やぶみ、さゝがに緋縅ひをどしこそ、くれなゐいろにはづれ、たゞ暗夜やみわびしきに、烈日れつじつたちまごとく、まどはなふすまひらけるゆふべ紫陽花あぢさゐはな花片はなびら一枚ひとつづゝ、くもほしうつをりよ。
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
萌黄もえぎ緋縅ひをどし赤縅あかをどし、いろいろのよろひの浮きつ沈みつゆられけるは、カンナビ山のもみぢ葉の、みねの嵐にさそはれて……」
武者窓日記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
せめては狩衣かりぎぬか、相成あひなるべくは、緋縅ひをどしよろひ……とがつくと、暑中伺しよちううかゞひに到来たうらい染浴衣そめゆかたに、羽織はおりず、かひくちよこつちよに駕籠かごすれして、ものしさうに白足袋しろたび穿いたやつ
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
筑摩川ちくまがはは、あとに月見堂つきみだうやまかげから、つきげたるあみかとえる……汽車きしやうごくにれて、やまかひみね谷戸やとが、をかさね、あぜをかさねて、小櫻こざくら緋縅ひをどし萌黄匂もえぎにほひ櫨匂はじにほひを、青地あをぢ
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)