竿頭かんとう)” の例文
さらに、竿頭かんとう一歩、漢室の復興という希望も、はや、痴人ちじんの夢ではありません。その実現を期することができる……と、私は信じまする
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
懐中物になんの手がかりも、なんの不審もないとすれば、百尺竿頭かんとう一歩をすすめて、さらに第二第三のネタ捜しをしなければならないのです。
すなわち一度は忠実なる門下生となってその上において我等は百尺竿頭かんとうに一歩を進めるていの心掛けが肝要なことであります。
俳句の作りよう (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
彼が公然なる脱走をなして間部の首を竿頭かんとうに貫き、天下に義を唱えんがため、京都に赴かんとするや、周布彼に告げて曰く
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
これに百尺竿頭かんとう一歩をすすめたのであるが、しかし、どう物色しても、川那子薬で全快したという者が見当らなかった。
勧善懲悪 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
一つの法令を発するごとに、これを一片の板に書き付け、数十尺の竿頭かんとう高く掲げて、これをもって公布と号した。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
一旦は船へ戻るとしても出直して、北上の竿頭かんとうさらに一歩を進めて、陸奥みちのくくがの果てなる恐山——鬼が出るか、じゃが出るか、そこまで行って見参したいものだな。
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
……のみならず諸君の好奇心は、それだけに満足しないで、更に、百尺竿頭かんとう一歩を進めた質問を発せしめた。いわく……「心理遺伝はタッタそれだけのものか」……と……。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ただし竿頭かんとうのさつきの花だけは花御堂はなみどうにあやかったものであって、元はやはり髯籠系統ひげこけいとうのものであったかと推察する。なお後の話の都合上この八日という日取りを御記憶ねがっておく
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
最後の竿頭かんとうに立って思いついた僕の一策というのは、どんなことであったろうか。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
荒浪あらなみ鞺々どう/\打寄うちよするみさき一端いつたんには、たか旗竿はたざほてられて、一夜作いちやづくりの世界せかい※國ばんこくはたは、その竿頭かんとうから三方さんぽうかれたつなむすばれて、翩々へんぺんかぜなびく、その頂上てつぺんにはほまれある日章旗につしようき
かへりみるとまち旅館りよかんはた竿頭かんとうしろうごいてる。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
このさい、親王の中書軍ちゅうしょぐんがささげていた日月にちげつの錦の旗が、とつぜん突風に狂い、竿頭かんとうから地に落ちたので、人々みな
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
マヂニーに髣髴ほうふつして、さらにマヂニーの百尺竿頭かんとう及ぶべからざるものあればなり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
もしそれ百尺竿頭かんとう、百歩を進めた超凡越聖ちょうぼんおっしょう絶学ぜつがく無造作裡むぞうさりに、かみは神仏のあご蹴放けはなし、しもは聖賢の鼻毛を数えるに到っては天魔、鬼神も跣足はだしで逃げ出し、軒の鬼瓦も腹を抱えて転がり落ちるであろう。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
藤吉郎は、洲股すのまたへさして帰城した。この戦から、彼は初めて、馬印うまじるしを主君からゆるされた。行軍の秋をてらてら耀かがやいてゆく竿頭かんとうの一ぴょうがそれであった。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
我邦における犬公方いぬくぼうの名ある疎胆そたん雄略の綱吉が将軍職にきたる明年(天和二年、一千六百八十二年)におよんでは、彼得ペートル大帝位にき、遠馭えんぎょ長駕、経略けいりゃくの猛志さらに百尺ひゃくしゃく竿頭かんとう一歩を進め
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
幕僚は、その場で皆、喪章もしょうをつけた。——そして将軍旗の竿頭かんとうにも、弔章ちょうしょうが附せられた。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「君よ、見給え。ここにあるのは君のこうべではないか。武士たる者が、わが頭を敵にわたし、竿頭かんとうさらし物とされては、もはやいたふうな口はきけない筈だがな。……あははは。わははは」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これこそ天上というのだろう、何の雑念もなく、今は、迷いもなく、三百余人が一体となって、ただ竿頭かんとうの白旗と、それにゆわえつけてある以仁王の令旨りょうじとを、時折、無言で見あげ合っていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)