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空壜
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あきびん
ふりがな文庫
“
空壜
(
あきびん
)” の例文
媼さんは
頭
(
かぶり
)
を
掉
(
ふ
)
つた。智慧の持合せの少かつたのを、六十年来使ひ減らして来たので、頭の中では
空壜
(
あきびん
)
を
揮
(
ふ
)
るやうな音がした。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
(略)店は
二間間口
(
にけんまぐち
)
の二階造り、
軒
(
のき
)
には
御神燈
(
ごじんとう
)
さげて
盛
(
も
)
り
塩
(
しお
)
景気よく、
空壜
(
あきびん
)
か何か知らず
銘酒
(
めいしゅ
)
あまた棚の上にならべて
帳場
(
ちょうば
)
めきたる処も見ゆ。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
そこには、出来たばかりの人造人間が、ぴーんと
硬直
(
こうちょく
)
したまま、ビールの
空壜
(
あきびん
)
を積んだように並べられてあった。実に、世にもめずらしい光景であった。
人造人間戦車の機密:――金博士シリーズ・2――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
異国に対する無知が、およそいかなる程度のものであったかは、黒船から流れ着いた
空壜
(
あきびん
)
の話にも残っている。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
すると勝手の方で婆さんの声がした。それから牛乳配達が
空壜
(
あきびん
)
を鳴らして急ぎ足に出て行つた。
宅
(
うち
)
のうちが静かなので、鋭どい代助の聴神経には善く
応
(
こた
)
へた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
午後の二時ごろには、彼らのテーブルには
空壜
(
あきびん
)
がいっぱい並んでいた。二本の
蝋燭
(
ろうそく
)
が、一本は全部緑色の銅の燭台に、一本は欠けた壜の
鶴首
(
つるくび
)
にささっていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
縫い物をしていると、川のほうで妙な音がする、ごぼごぼという、
空壜
(
あきびん
)
に水の入るような音と、ひゅう、と息を吸うような音が、川上のほうから、しだいに下って来る。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
葡萄酒
(
ぶどうしゅ
)
や、麦酒の
空壜
(
あきびん
)
を海に捨てれば、毒物を流して日本人を
鏖殺
(
おうさつ
)
するの計画と怖れ、釣床に疲れている水兵を見て異人は惨酷だ、悪事を為したものには相違なかろうが
大菩薩峠:30 畜生谷の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
行儀よく並んだ
空壜
(
あきびん
)
に、何かの液体を注ぎこみでもするように、教えこまれるあれこれのすべてが、少女たちの若々しい本心に、肯かれることばかりではなかったことは確です。
美しく豊な生活へ
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
店は二
間
(
けん
)
間口の二階作り、軒には御神燈さげて
盛
(
も
)
り
塩
(
じほ
)
景気よく、
空壜
(
あきびん
)
か何か知らず、銘酒あまた棚の上にならべて帳場めきたる処もみゆ、勝手元には七輪を
煽
(
あほ
)
ぐ音折々に騒がしく
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ブリキの石油缶や
空壜
(
あきびん
)
や板きれが、岩礁の間に漂っていた。難破船のいたましいかたみの品なのであろう。ことによると、九竜丸の
残骸
(
ざんがい
)
もその中にまじっているのかも知れなかった。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
この日は
殊
(
こと
)
に割りこみ騒ぎで殺気立ち、その列中の若者の一人は柄のよくない与太者と見えたが、
喇叭
(
らつぱ
)
のみにのみ終つたビールの
空壜
(
あきびん
)
の口をバンと
打
(
ぶ
)
つかいだかと思ふと相手の首筋にグサと突き刺し
老残
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
今まで
空壜
(
あきびん
)
だらう位に思つてゐたがよく見ると
鳥料理:A Parody
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
義母
(
おつかさん
)
の
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
は
最早
(
もう
)
コツプも
空壜
(
あきびん
)
も
無
(
な
)
い。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
中野氏はかう腹をきめて自分の居る
室
(
へや
)
のなかを見廻した。粗末な椅子と
卓子
(
テーブル
)
と
麦酒
(
ビール
)
の
空壜
(
あきびん
)
と会話辞書と——そこらに見えるものは何一つ耳を持つてはゐなかつた。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
店
(
みせ
)
は二
間
(
けん
)
間口
(
まぐち
)
の二
階
(
かい
)
作
(
づく
)
り、
軒
(
のき
)
には
御神燈
(
ごしんとう
)
さげて
盛
(
も
)
り
鹽
(
じほ
)
景氣
(
けいき
)
よく、
空壜
(
あきびん
)
か
何
(
なに
)
か
知
(
し
)
らず、
銘酒
(
めいしゆ
)
あまた
棚
(
たな
)
の
上
(
うへ
)
にならべて
帳塲
(
ちようば
)
めきたる
處
(
ところ
)
もみゆ、
勝手元
(
かつてもと
)
には七
輪
(
りん
)
を
煽
(
あほ
)
く
音
(
おと
)
折々
(
をり/\
)
に
騷
(
さわ
)
がしく
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「牛乳、ビール、サイダーの
空壜
(
あきびん
)
を集めてください」
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今まで
空壜
(
あきびん
)
だろう位に思っていたがよく見ると
鳥料理
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
羸弱
(
ひよわ
)
な役人の腹は
薄荷
(
ペパミント
)
酒の
空壜
(
あきびん
)
のやうな恰好になつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
空
常用漢字
小1
部首:⽳
8画
壜
漢検1級
部首:⼟
19画
“空”で始まる語句
空
空地
空虚
空想
空洞
空腹
空家
空気
空嘯
空手