神佛かみほとけ)” の例文
新字:神仏
翌日あくるひまず、民子たみここゝろこゝろならねど、神佛かみほとけともおもはるゝおいことばさからはず、二日ふつか三日みつか宿やどかさねた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
盡し神佛かみほとけへも祈りしかど其しるしかつてなく後には半身はんしん叶はず腰も立ねば三度のしよくさへ人手をかりるほどなれどもお菊は少しも怠らず晝は終日ひねもす賃仕事ちんしごと或ひはすゝ洗濯せんたく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
(なみだを拭ふ。子之介もうつむいて聽く。)かたきは誰か知らねども、見つけ次第に唯は置くまいと、歎きのなかに胸に刻んで今まで月日を送るうちに、神佛かみほとけのひきあはせか、かたきは知れた……。
佐々木高綱 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
しのぎつゝ親子が涙のかわく間もなくわづかの本資もとで水菓子みづぐわしや一本菓子などならおき小商こあきなひの其のひまにはそゝぎ洗濯せんたく賃仕事ちんしごとこほあぶらあかりを掻立かきたてつゝ漸々やう/\にして取續き女心の一トすぢ神佛かみほとけ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いや、誰方どなたもおさわぎなさるな。もううなつちや神佛かみほとけ信心しんじんではみなしうらちがあきさうもないにつて、たゞわしなければ大丈夫だいぢやうぶだと、一生懸命いつしやうけんめい信仰しんかうなさい、うすれば屹度きつとたすかる。よろしいか/\。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つぶさに申ければ權三は一たい涙脆なみだもろき男なるが助十にむかひ何と此御若衆このおわかいしゆが鈴ヶ森に居たる時に我々われ/\通掛とほりかゝるも不思議ふしぎまたすゞもりにて小便をする時彦兵衞殿のはなしをしたもこれ神佛かみほとけ御引合おんひきあはせにて其孝心そのかうしん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)