まつ)” の例文
新字:
良人操縱をつとさうじうなぞ夢にも知らず、正直まつぱうをまつかうにかざす。知つてゐるのは、夫も癖の多い人間で、神ではおはさぬことと、もひとつ、惡魔とも懇意な小説家であるといふこと。
こんな二人 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
また近頃ちかごろつくつたあたらしい勾玉まがたま模造品もぞうひんは、そのあなまつすぐに筒形つゝがたにあいてゐますが、ふる勾玉まがたまはたいてい一方いつぽうあるひは兩方りようほうから圓錘形えんすいけいちかあなひらいてをり、このあなのあけ工合ぐあひでも
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「ああ見えて、あの男程まつ正直な人間も少ないし、あれ程内氣な奴も無いんだぜ。」
大阪の宿 (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
あはれ南無八幡大菩薩も照覽あれ、瀧口時頼が武士の魂の曇なき證據、まつ此の通り
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
のゝしるか、わらふか、ひと大聲おほごゑひゞいたとおもふと、あの長靴ながぐつなのが、つか/\とすゝんで、半月形はんげつがた講壇かうだんのぼつて、ツと一方いつぱうひらくと、一人ひとりまつすぐにすゝんで、正面しやうめん黒板こくばん白墨チヨオクにして
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
二のかたなにてもなく切殺きりころしけるにぞ馬士まごは大きに驚き仰天ぎやうてんして人殺し/\といひながら一目散に迯出にげいだすを重四郎おののがしては後日のさまたげと飛掛とびかゝつて後背うしろよりまつ二ツに切下きりさげれば馬士まごどうたふるゝ處を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
すると怒氣心頭に發した君は、肩をまつ四角にして怒鳴りかへした。
室生犀星に与ふ (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
たゞさやうへかざつてあつた、きんめっきをしたどうなどの部分ぶぶんだけが、わりあひによくのこつてゐるだけであります。さてこの時分じぶん刀劍とうけんは、みなまつすぐで、のち時代じだいかたなのようにりがありません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)