まさ)” の例文
新字:
まさ秋霜しうさうとなるとも檻羊かんやうとなる勿れと此言や男子だんしたる者の本意ほんいと思ふはかへつて其方向をあやまるのもとにしてせいは善なる孩兒がいじも生立にしたがひ其質を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
〔譯〕愼獨しんどく工夫くふうは、まさに身稠人ちうじん廣座くわうざの中に在るが如く一ぱんなるべし。應酬おうしうの工夫は、まさ間居かんきよ獨處どくしよの時の如く一般なるべし。
おなところ自若じじやくとして一人ひとりると、まさにそのひるならんとして、ねずみが、幾度いくたびたりはひつたりした。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたくしは壽阿彌の手紙と題する此文を草してまさに稿ををはらむとした。然るに何となく心にあきたらふしがあつた。何事かは知らぬが、まさすべくして做さざる所のものがあつて存する如くであつた。
寿阿弥の手紙 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
すなはその(四九)歩軍ほぐんて、その(五〇)輕鋭けいえいと、(五一)ばいかうあはせてこれへり。孫子そんし其行そのかうはかるに、くれまさ馬陵ばりよういたるべし。馬陵ばりようみちせまくしてかたは(五二)阻隘そあいおほく、へいふくし。
〔譯〕此の學は吾人一生の負擔ふたんまさたふれて後にむべし。道固より窮り無し。堯舜の上、善盡くること無し。
「お、お、周南しうなんよ、なんぢそれつきそれもつまさぬべきぞ。」
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
〔譯〕がく自得じとくたふとぶ。人いたづらに目を以て有字の書を讀む、故に字にきよくし、通透つうとうすることを得ず。まさに心を以て無字の書を讀むべし、乃ちとうして自得するところ有らん。
「お、お、周南しうなんよ。なんぢつき幾日いくじつにしてまさぬべきぞ。」
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)