点々てんてん)” の例文
旧字:點々
母親ははおやは、むすめがそれをて、こころでおかあさんのくせがはじまったとおもっているのもらずに、ばしのさきで、火鉢ひばちはいうえに、点々てんてんをつけていました。
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
風もないのに、紅梅こうばい白梅はくばいの花びらが、ばしの水に点々てんてんとちって、そのにおいがあやしいまでやみにゆらぐ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その雑誌ざっしを読むと、すぐお父さんの書斎しょさいからおおきな本をもってきて、ぎんがというところをひろげ、まっ黒なページいっぱいに白に点々てんてんのあるうつくしい写真しゃしんを二人でいつまでも見たのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
青々あおあおれた大空おおぞらの上に、ぽつん、ぽつんと、白い点々てんてんのようにえていた、仲間なかま少女おとめたちの姿すがたも、いつのにか、その点々てんてんすらえないほどのとおくにへだたって、あいだにははるかすみ
白い鳥 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
○渓流いし点々てんてん 蹈石撮香芹いしをふみてこうきんをとる
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
ねえさんは、すわって、仕事しごとをしながら、ときどきおもしたように、たる庭前にわさきました。くろずんだざくろのに、はなが、点々てんてんのともるようにいていました。
ある夏の日のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
と——蛾次郎も卜斎の視線しせんにならってその方角ほうがくへ目をやってみると、竹矢来たけやらいの一かく、そこはいまあらかたの弥次馬やじうま獄門台ごくもんだい掲示けいじ高札こうさつを見になだれさったあとで、ほのあかるい夕闇ゆうやみに、点々てんてん
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
野ばらは赤い光の点々てんてんを王子の顔に反射はんしゃさせながら
点々てんてんたるかえり血は、夜叉やしゃのように、かれのうでそでをいろどった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ななかまどののように点々てんてんとしていました。
手風琴 (新字新仮名) / 小川未明(著)