“てんてん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
輾転41.7%
転輾23.3%
点々13.3%
転々10.0%
点点3.3%
囀々3.3%
滇々1.7%
輾轉1.7%
顛転1.7%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
夜具の中で輾転てんてんと悶えたり、呻吟しんぎんしたり、はね起きて、がたがた震えながら歩きまわったり、また幾たびも暗い庭へ出ていったりした。
月の松山 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
酒を知ってから、もう十年にもなるが、一向に、あの気持に馴れることができない。平気で居られぬのである。慚愧ざんき、後悔の念に文字どおり転輾てんてんする。
酒ぎらい (新字新仮名) / 太宰治(著)
風もないのに、紅梅こうばい白梅はくばいの花びらが、ばしの水に点々てんてんとちって、そのにおいがあやしいまでやみにゆらぐ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでコックの春吉はすっかり憤慨ふんがいし、この復讐ふくしゅうを計画したわけなのだ。彼は元々もともと、極端な享楽児きょうらくじで、趣味のために、いろいろな職業を選び、転々てんてんとして漂泊さすらいをした。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
糢糊もこたる暁色げうしよくの中に藍鼠あゐねずみ色をした円錐けいの小さい島の姿が美しかつた。山麓に点点てんてんたる白い物は雪であらうと云つて居たが、望遠鏡で望むと人家じんかであつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
さすれば、妍々けんけんたる花容も囀々てんてんたる鶯声おうせいも、みな宇宙の大精神の照応にして、仏書にいわゆる
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
「さてさて、性なき者には遂に天日の愛もとおらぬものか。人とも思えぬやから、見る眼もず。早く解いて、山野へ帰せ」と、滇々てんてん水の去るが如く、愛憎を超えた面持で彼方かなたへ行きかけた。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの輾轉てんてんとして、生暖かい床の上に、この体をもてあましている切なさ、苛立いらだたしさ……ワッと大声で泣叫びたいような、地獄の苦しみなのです。
歪んだ夢 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
久之進はなにも云わなかった、長袴の裾を踏むなどということはありがちである、またそのはずみで襖ごと顛転てんてんすることだって無くはない。
粗忽評判記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)