転々てんてん)” の例文
旧字:轉々
むらひとたちも、看板かんばん目標もくひょうに、道筋みちすじなどをかたるようになりました。しかし、これをいた兵蔵へいぞうは、それから転々てんてんして、どこへかうつっていってしまった。
生きている看板 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それでコックの春吉はすっかり憤慨ふんがいし、この復讐ふくしゅうを計画したわけなのだ。彼は元々もともと、極端な享楽児きょうらくじで、趣味のために、いろいろな職業を選び、転々てんてんとして漂泊さすらいをした。
電気看板の神経 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そしてややしばらく芋虫いもむしのように転々てんてんとして上になり、下になりしていたが、ついにンまたいでねじふせた燕作が、右の拇指おやゆびで、グイと対手あいてのどをついたので、あわれや竹童ちくどう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よりて思うに、この論文はあえて世人に示すをはばかるべきものにあらず、ことにすでに世間に伝わりて転々てんてん伝写でんしゃの間には多少字句のあやまりなきを期せざればむしろその本文を公にするにかざるべしとて
瘠我慢の説:01 序 (新字新仮名) / 石河幹明(著)
私は九州肥後の葦北あしきた水俣みなまたという海村に生れ、熊本で成長し、伊予の今治、京都と転々てんてんして、二十二歳で東京に出で、妻は同じ肥後の菊池郡隈府わいふという山の町に生れ、熊本に移り、東京に出で
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
そのは、母親ははおや方々ほうぼう転々てんてんしたというから、これまでの生活せいかつが、さっしられますが、ほかにも子供こどもどうしで、あのはたべられそうだとか、あのくさてたべたら、おいしかろうとか
子供は悲しみを知らず (新字新仮名) / 小川未明(著)