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兵蔵
兵蔵は、いつに
変わらぬのんきな
顔つきをして、しきりに
筆を
動かして、いま
女の
頭から
描きはじめたところです。
村の
人たちも、
看板を
目標に、
道筋などを
語るようになりました。しかし、これを
描いた
兵蔵は、それから
転々して、どこへか
移っていってしまった。
その
日の
晩方には、
美しい
女の
立ち
姿がみごとに
描き
上がりました。
兵蔵は、はしごから
降りて、しばらく
道の
上に
立って、
自分の
描いた
絵に
見とれていました。