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渺茫
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べうばう
ふりがな文庫
“
渺茫
(
べうばう
)” の例文
小
(
ちさ
)
き中庭を歩みて宿るべき部屋々々に登り着きぬ。我室の窓より見れば、烟波
渺茫
(
べうばう
)
として、遠きシチリアのあたりまで只だ一目に見渡さる。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
若草
(
わかくさ
)
ながら
廣野
(
ひろの
)
一面
(
いちめん
)
渺茫
(
べうばう
)
として
果
(
はて
)
しなく、
霞
(
かすみ
)
を
分
(
わ
)
けてしろ/″\と
天中
(
そら
)
の
月
(
つき
)
はさし
上
(
のぼ
)
つたが、
葉末
(
はずゑ
)
に
吹
(
ふ
)
かるゝ
我
(
われ
)
ばかり、
狐
(
きつね
)
の
提灯
(
ちやうちん
)
も
見
(
み
)
えないで
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
渺茫
(
べうばう
)
として田園の不毛に帰したるあり。所々に小丘を見るは是れ毒土を聚積したりしなり。
鉱毒飛沫
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
渺茫
(
べうばう
)
たる海面に
鱶
(
ふか
)
が列を為して
現
(
あら
)
はれたかと思つたのは三
浬
(
マイル
)
先の埠頭から二挺
櫓
(
ろ
)
を一人で
前向
(
まへむき
)
に押して漕ぐ
馬来
(
マレイ
)
人の
小舟
(
サンパン
)
の縦列で、彼等は見る
中
(
うち
)
にわが船を取囲んで
仕舞
(
しま
)
つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
斯くの如く、僕の前途は
遙
(
はる
)
かに
渺茫
(
べうばう
)
たるものであり、大いに将来有望である。
風変りな作品に就いて
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
暫く茶店に休んで又歩いた。かうして夕日が
渺茫
(
べうばう
)
たる日本海に沈む時分、村から一里手前のA町に着いた。そしてまだ十分家に帰り得る時間も精力もあつたが、
態
(
わざ
)
と其町の知合の宿屋へ入つた。
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
渺茫
(
べうばう
)
たる海洋は夏霞が淡く棚曳いたといふ程ではないがいくらかどんよりとして唯一抹である。じつと見て居ると何處からか
胡粉
(
ごふん
)
を落したといふ樣にぽちつと白いものが見え出した。漁舟である。
炭焼のむすめ
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
アルコールよりもなほ強く、竪琴よりも
渺茫
(
べうばう
)
と
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
船
(
ふね
)
が
下流
(
かりう
)
に
落
(
お
)
ちると、
暮雲
(
ぼうん
)
岸
(
きし
)
を
籠
(
こ
)
めて
水天一色
(
すゐてんいつしよく
)
、
江波
(
かうは
)
渺茫
(
べうばう
)
、
遠
(
とほ
)
く
蘆
(
あし
)
が
靡
(
なび
)
けば、
戀々
(
れん/\
)
として
鷺
(
さぎ
)
が
佇
(
たゝず
)
み、
近
(
ちか
)
く
波
(
なみ
)
が
動
(
うご
)
けば、アヽ
鱸
(
すゞき
)
か?
鵜
(
う
)
が
躍
(
をど
)
つた。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
遊人の舟は相
銜
(
ふく
)
みて洞窟より出で、我等は前に
渺茫
(
べうばう
)
たる大海を望み、
後
(
しりへ
)
に
琅玕洞
(
らうかんどう
)
の石門の漸く
細
(
ほそ
)
りゆくを見たり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
まだ
方角
(
はうがく
)
も
確
(
たしか
)
でない。
旅馴
(
たびな
)
れた
身
(
み
)
は
野宿
(
のじゆく
)
の
覺悟
(
かくご
)
で、
幽
(
かすか
)
に
黒雲
(
くろくも
)
の
如
(
ごと
)
き
低
(
ひく
)
い
山
(
やま
)
が
四方
(
しはう
)
を
包
(
つゝ
)
んだ、
灰
(
はひ
)
のやうな
渺茫
(
べうばう
)
たる
荒野
(
あらの
)
を
足
(
あし
)
にまかせて
辿
(
たど
)
ること
二里
(
にり
)
ばかり。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
渺
漢検1級
部首:⽔
12画
茫
漢検1級
部首:⾋
9画
“渺”で始まる語句
渺々
渺
渺漠
渺漫
渺莽
渺々乎