歓迎かんげい)” の例文
旧字:歡迎
しまへおきになったら、わたしどものことをみんなにはなしてください。どんなにおどろいて、あなたたちを歓迎かんげいすることでありましょう……。
北海の波にさらわれた蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いま、このあたらしくはいって仲間なかま歓迎かんげいするしるしに、立派りっぱ白鳥達はくちょうたちがみんなって、めいめいのくちばしでそのくびでているではありませんか。
味は淡白たんぱくであって美味うまくないから、だれも食料として歓迎かんげいしない。しかれども方法をもってすれば、砂糖さとうが製せられるから捨てたものではない。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
会釈えしゃくをかえしながら、大石先生はなみだぐんでいた。まず、幼い子らに歓迎かんげいされたような気がしてうれしかったのだ。そっと目がしらをさえ、笑顔を見せた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
かれは、かれらがまだ玄関に足をふみ入れないうちに、何かと歓迎かんげいの気持ちをあらわすような言葉をかけた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
町々の人は少年を歓迎かんげいし始めた。少年の姿を見ると目出度めでたいと言って急いで羽織袴はおりはかまうやうやしく出迎でむかえるような商家の主人もあった。華々はなばなしい行列で停車場へ送ったりした。
みちのく (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
芸者が来たら座敷中急に陽気になって、一同がときの声をげて歓迎かんげいしたのかと思うくらい、騒々そうぞうしい。そうしてある奴はなんこをつかむ。その声の大きな事、まるで居合抜いあいぬき稽古けいこのようだ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
たとえば、海抜かいばつ千メートル以上のアンデス山脈をこえ、昼なお暗い深林を通り、パタゴニアの荒漠こうばくたる草原を横断せねばならない。そのうえに、パタゴニアの蛮人ばんじんどもは、諸君を歓迎かんげいはしまい
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
これがわたしの家族からこの夜はじめてわたしの受けた歓迎かんげいであった。
「待っていましたよ、小杉君。われわれは君を歓迎かんげいします」
三十年後の東京 (新字新仮名) / 海野十三(著)
まちはにぎやかでした。うつくしい、そして快活かいかついもうとは、だれからでもよろこばれたにちがいありません。人々ひとびとは、みんないもうと歓迎かんげいしたにちがいありません。
灰色の姉と桃色の妹 (新字新仮名) / 小川未明(著)
前述のとおりサクラソウでさえ、自家結婚を避けて他家結婚を歓迎かんげいしているではないか。言い古した言葉だが、「人にして草にかざるべけんや」である。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
大吉は、ドサンの姉ちゃんとよんで歓迎かんげいし、その日は、一日笑いくらして別れるのがおきまりになっていた。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
その歓迎かんげいのキスは、おまえの血の中に死の熱病を吹きこむのだ。ゆけよ、ゆけ、りあがる大波をえて!
みんなは、H村につくと、まず小学校の一室にしょうぜられた。そこには村の青年たちばかりでなく、村長以下のあらゆる機関団体の首脳者が集まっていて、歓迎かんげいしてくれた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
大変歓迎かんげいしているんだが、そこにはいろいろな事情があってね。君も腹の立つ事もあるだろうが、ここが我慢がまんだと思って、辛防しんぼうしてくれたまえ。決して君のためにならないような事はしないから
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぼくは、ひさしぶりで、なつかしいかわのにおいをかぎました。みずも、ぼくをわらえば、太陽たいようまで、きら、きらと、よろこんで、歓迎かんげいしてくれました。
水七景 (新字新仮名) / 小川未明(著)
君のような人に、この塾の生活を十分理解してもらうということは、学校教育にも何かきっとプラスになることだと信ずるし、その意味で、むろん私としては、大いに歓迎かんげいしたい。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
疑う余地なき才能! 歓迎かんげいすべき天賦てんぷの素質! 詩のそのいた一輪の花! 装幀もいい、などとね。ところで、もう一つの本はどうだろう! あの著者は、ぼくにも買わせようという腹らしい。
心にもないお世辞をいたり、美しい顔をして君子をおとしいれたりするハイカラ野郎は一人もないと信ずるからして、君のごとき温良篤厚とっこうの士は必ずその地方一般の歓迎かんげいを受けられるに相違そういない。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
物識ものしりは、いえに、つくねんとしてすわっていました。おとこが、仏像ぶつぞうをかかえてはいってきたので、物識ものしりは、きっとなにかの鑑定かんていだなとおもって、おとこ歓迎かんげいいたしました。
天下一品 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あのしまからきたのだ。つばめのしまからきたのだ。」といって、このりこうなとり歓迎かんげいしました。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)