最上もがみ)” の例文
鹿角かづの郡のユルギがあり、福島県では石城いわき郡のイルギ、最上もがみ会津あいづ相州そうしゅう浦賀等のユルギのほかに、飛んで隠岐おき五箇浦ごかのうらのエリリがある。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
最上もがみ山形の人であるから、出身の地名を採ったのであるが、しかも「さいじょう流」と音読して、最優位の流派たることを示さんとした。
最上もがみ義光にたぶらかされた政宗の目上が、政宗を亡くして政宗の弟の季氏すえうじを立てたら伊達家が安泰で有ろうという訳で毒飼の手段を廻らした。
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
体がかゆくて困るといわれてうちの代診の工夫で硫黄いおう風呂ふろを立てたこともあり、最上もがみ高湯の湯花を用いたことなどもあった。
三筋町界隈 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
みのといえば最上もがみ郡がまた素晴らしい産地であります。この地方の蓑の特長は模様を入れる襟巾が広いことで、色々の材料で色々の紋様を出します。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
祖先からの土豪造どごうづくりの家は、羽前の大川たいせん最上もがみの流れに沿い、甑嶽こしきだけふもとにあった。山形から十里余、楯岡たておかとりでから北へ一里、土称どしょう林崎という部落にあった。
剣の四君子:03 林崎甚助 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ここは出羽でわの国最上もがみこおりから、牡鹿おがの郡へぬける裏山道のうち、もっともけわしいといわれるやぐら峠である。
峠の手毬唄 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「後学のため見て置かっしゃい!」最上もがみの浪人と呼ばれる武士、自分の大刀をギラリと抜いた。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
最上もがみのお家を取潰とりつぶしたのも、御先代が怪しい御最期を遂げられたのも、みんな山野辺右衛門やまのべえもん様をはじめ、楯岡たておかなどの仕業に相違ない、お家の潰れるのも構わず公儀に楯をついて
十字架観音 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
此平野の南部を南北に貫流して酒田附近で最上もがみ川に注いでいる川に赤川というのがある。
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
それは今、建造中の巡洋艦『最上もがみ』『三隈みくま』『吉野よしの』『千種ちくさ』の四隻に関する秘密だ。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
最上もがみ川の上流、馬見※崎川のほとりに盃山という丘があるが、そこへ登ると、はるかに朝日岳、湯殿ゆどの山、羽黒はぐろ山、月山がっさんなどがのぞまれた。私は高校時代に一度だけ蔵王山に登ったことがある。
最上もがみだのというのに、海から盛んに鮭が上って来たのですが、近年それがトンと少なくなったということですが、いくら無尽蔵だといっても、乱暴をしてはたまらない、捕る時は盛んにとり
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
奥州で津軽・栗原・信夫、羽前の最上もがみ、それから信州木曾の園原そのはらなどにおいては、炭焼藤太すみやきとうたは必ず金売吉次かねうりきちじの父であった。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
沢庵は、その革巾着が、彼の父親の遺物と聞いて、伊織の素姓についていろいろただしてみると、祖先は最上もがみ家の旧臣で代々三沢伊織と名乗る家柄だという。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
中でも北津軽、南津軽、岩手、鹿角かづの、仙北、最上もがみ、村山の諸郡は蓑の王土と呼んでいい。新潟県、富山県などにも作り方に面白いのがあるが、さまで美しくはない。
蓑のこと (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
この小山のすそ馬見まみさき川(最上もがみ川の上流)が流れているのだが、それを眼下にみおろし、山形の街、桜桃畑、野、田畑とひろびろとした盆地を眺めつつ、柔い春風のなかで昼寝したものである。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
後年俳人の碧梧桐へきごどうがここを旅して、『出羽では最上もがみ上山かみのやまの夜寒かな』
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
「おっと、最上もがみの浪人もいらあ」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
佐渡のユリナタは山形県の最上もがみ地方ではユリバタ、信州の小谷おたりではヰルブチ、能登のとと加賀ではエンナタであった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
羽前の北端は最上もがみ郡である。郡の町は新庄しんじょうである。ここは更に北の横手を指す線と、左へ折れ余目あまるめに達する線との分れ目である。冬は雪に深い。この新庄の町はずれの東山に窯が二つある。
現在の日本民窯 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
最上もがみ家の浪人金井かない半兵衛」
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
市街から少し離れ最上もがみ川の川口に臨んだ水郷である。房州では太海ふとみ村の西山と江見村との境に一つの山居がある。これなども山というほどでない海岸近い地である。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
広益俗説弁こうえきぞくせつべん』巻十三には、海尊かいそん高館の落城に先だって山にのがれ、仙人となって富士・浅間・湯殿山ゆどのさんなどに時々出現するとあるが、羽前最上もがみ古口ふるくち村の外川とかわ神社の近くにも
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
次ぎに山形県では最上もがみの山寺のふもとに、一つの景政堂があってそこの鳥海とりのうみの柵のあとだといいました。権五郎が眼の傷を洗った池というのがあって、同じく片目の魚が住んでいました。
日本の伝説 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
山形県の最上もがみから羽後うご院内いんないへ越えようとする所の小さい停車場などもその一つであるが、ノゾキは本来野のソキすなわち境上の原野ということである。こういう言葉はまだたくさんにある。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
上流二所の阿久戸は海面よりはるかに高くかつ砂地であるらしいから、アクツは必ずしも卑湿沮洳そじょの地を意味すると断定することはできない。羽前うぜん最上もがみ川の支渓にも安久戸または悪戸は多い。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
埼玉県の妻沼めぬま辺ではホシンカン、岩手県ではコウセンクヮあるいはコセンコというのはあきらかに片言であるが、秋田県の各地でエングヮンコまたはエングヮ、山形県に行くと荘内でも最上もがみ郡でも