まげ)” の例文
勘次かんじ菜切庖丁なきりばうちやう取出とりだして、そのたか蜀黍もろこしみきをぐつとまげては穗首ほくびちかなゝめつた。勘次かんじとまつてみききふかへつた。さうして戰慄せんりつした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
試験所前のまげものや折箱おりばここしらえる手工業を稼業かぎょうとする家のはなれの小座敷ざしきを借りて寝起きをして、昼は試験所に通い、夕飯後は市中へ行って、ビールを飲んだり
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
可睡齋押返し愚僧ぐそう態々わざ/\推參すゐさん致し右の趣き御聞濟きゝずみ是なきに於ては退院たいゐん致すべき存寄ぞんじよりに候と思ひ入て申されけるにぞ外記は殊のほか迷惑めいわくに思ひ然樣の思召ならばまげて一等罪を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
清元本多きよもとほんだと申して幇間たいこもちやなんかは石垣に蜻蛉とんぼの止ったような頭に結いましたもの、只今では散髪ざんぎりに成ったから、ふうの変え様が有りませんが、此方こちら(右)にまげるとか、あるいは左の方に撫付けたが宜かろう
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
貴方樣あなたさまとくと御考へ遊ばしまげて御聞入あるべしと詞を盡して申勸めしかば母おもせは女郎ぢよらう畜生ちくしやう同前と思へ共只一人の子といひ支配人しはひにんの忠兵衞が申勸る事故詮方なく然る上は是非ぜひに及ばず其女を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
見忘れたか汝等能く聞け身延山みのぶさん會式ゑしきもどり罪作りとは思へども見るに忍びぬ此場の時宜しぎいのち暫時ざんじたすけ船七十五里の遠江灘とほたふみなだ天窓あたまの水先押まげて尻を十ぶんまくに早くみなとにげ込て命ばかりの掛り船ドリヤかぢ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)