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ふきこ
ふりがな文庫
“
拭込
(
ふきこ
)” の例文
……宿へ着いたのは、まだ日のたかい
中
(
うち
)
だったのです。下座敷の十畳、次に六畳の離れづくりで、広い縁は、滑るくらい
拭込
(
ふきこ
)
んでありました。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
妾宅は
上
(
あが
)
り
框
(
かまち
)
の二畳を入れて僅か
四間
(
よま
)
ほどしかない古びた
借家
(
しゃくや
)
であるが、
拭込
(
ふきこ
)
んだ表の
格子戸
(
こうしど
)
と
家内
(
かない
)
の
障子
(
しょうじ
)
と
唐紙
(
からかみ
)
とは、今の職人の
請負
(
うけおい
)
仕事を嫌い、
先頃
(
さきごろ
)
まだ
吉原
(
よしわら
)
の焼けない時分
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
年頃
拭込
(
ふきこ
)
んだ
板敷
(
いたじき
)
が向側の窓の
明障子
(
あかりしやうじ
)
の光線で水を流した様に光る。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
萱
(
かや
)
の
軒端
(
のきば
)
に鳥の声、という
侘
(
わび
)
しいのであるが、お雪が、朝、晩、花売に市へ行く、出際と、帰ってからと、二度ずつ
襷懸
(
たすきが
)
けで
拭込
(
ふきこ
)
むので、
朽目
(
くちめ
)
に
埃
(
ほこり
)
も
溜
(
たま
)
らず
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ただ一つ
欅
(
けやき
)
の
如輪木
(
じょりんぼく
)
で
塵
(
ちり
)
も置かず、
拭込
(
ふきこ
)
んで、あの黒水晶のような
鏨箪笥
(
たがねだんす
)
、何千本か
艶々
(
つやつや
)
と透通るような中から、
抽斗
(
ひきだし
)
を開けて取ろうとして——(片目じゃろうね。)——ッて天狗様が
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「構っちゃ
可厭
(
いや
)
だよ。」と
衝
(
つ
)
と茶の間を抜ける時、
襖
(
ふすま
)
二
間
(
けん
)
の上を渡って、二階の
階子段
(
はしごだん
)
が
緩
(
ゆる
)
く
架
(
かか
)
る、
拭込
(
ふきこ
)
んだ
大戸棚
(
おおとだな
)
の前で、
入
(
いれ
)
ちがいになって、女房は店の方へ、ばたばたと
後退
(
あとずさ
)
りに
退
(
すさ
)
った。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
見透
(
みとほし
)
の
裏
(
うら
)
は
小庭
(
こには
)
もなく、すぐ
隣屋
(
となり
)
の
物置
(
ものおき
)
で、
此處
(
こゝ
)
にも
犇々
(
ひし/\
)
と
材木
(
ざいもく
)
が
建重
(
たてかさ
)
ねてあるから、
薄暗
(
うすぐら
)
い
中
(
なか
)
に、
鮮麗
(
あざやか
)
な
其
(
その
)
淺黄
(
あさぎ
)
の
手絡
(
てがら
)
と
片頬
(
かたほ
)
の
白
(
しろ
)
いのとが、
拭込
(
ふきこ
)
むだ
柱
(
はしら
)
に
映
(
うつ
)
つて、ト
見
(
み
)
ると
露草
(
つゆぐさ
)
が
咲
(
さ
)
いたやうで
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
見透
(
みとおし
)
の裏は
小庭
(
こにわ
)
もなく、すぐ
隣屋
(
となり
)
の
物置
(
ものおき
)
で、
此処
(
ここ
)
にも
犇々
(
ひしひし
)
と材木が
建重
(
たてかさ
)
ねてあるから、薄暗い中に、
鮮麗
(
あざやか
)
なその浅黄の手絡と
片頬
(
かたほ
)
の白いのとが、
拭込
(
ふきこ
)
んだ柱に映って、ト見ると
露草
(
つゆぐさ
)
が咲いたようで
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
客は一統、女中たち
男衆
(
おとこしゅ
)
まで、
挙
(
こぞ
)
って式台に立ったのが、左右に分れて、妙に隅を取って、
吹溜
(
ふきだま
)
りのように
重
(
かさな
)
り合う。
真中
(
まんなか
)
へ
拭込
(
ふきこ
)
んだ大廊下が通って、奥に、霞へ架けた
反橋
(
そりはし
)
が庭のもみじに燃えた。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
低
(
ひく
)
い
太鼓橋
(
たいこばし
)
を
渡
(
わた
)
るくらゐ、
拭込
(
ふきこ
)
んだ
板敷
(
いたじき
)
が
然
(
しか
)
もつるりと
辷
(
すべ
)
る。
魔法罎
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
拭
常用漢字
中学
部首:⼿
9画
込
常用漢字
中学
部首:⾡
5画
“拭”で始まる語句
拭
拭掃除
拭布
拭巾
拭々
拭上
拭磨
拭取
拭廻
拭役