手続てつづき)” の例文
旧字:手續
若者わかものこころよけ、ただちにその準備したくにかかりました。もっと準備したくってもべつにそううるさい手続てつづきのあるのでもなんでもございませぬ。
それから老婆に向って、まちに誰か代人なり、または知合いで、登記の手続てつづきやその他必要なことを全部委任することの出来る人はないかと聞きただした。
日本を不利の地位に陥れむとするウオル街の全権代表者より個人的に適法の手続てつづきを以て小生の手に渡り、合法的に小生の所有となったものでありますから
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
でもね、私達には子供がなかったので、神様からさずかった本当の娘だと思って、警察の手続てつづきもすませ、立派にお前をもらって来て、私達はたんせいをこらしたのさ。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
この驚くべき報告が麓へ拡まると、町からも村からも大勢の加勢が駈着かけつけた。安行の屍体は自宅へ、お杉と𤢖の亡骸なきがらは役場へ、れに引渡ひきわたしの手続てつづきえた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
武士は中へ入って手続てつづきをふみ、己の住居することになっている長屋へ入った。長屋の両隣りょうとなりには心安い人がいたが、もうけているのでそのはそのまま寝ることにして寝た。
山寺の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
うしろふり向きしそのあわれさ、八幡はちまん命かけて堪忍ならずと珠運七と呼留よびとめ、百両物の見事に投出して、亭主お辰のおどろくにもかまわず、手続てつづき油断なくこの悪人と善女ぜんにょの縁を切りてめでたし/\
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
奥さんはそうした手続てつづきの済むまで、誰もKの部屋へはれませんでした。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そんな面倒めんどう手続てつづきんであってさえも、ゆうからけんに、肉体にくたいのないものから肉体にくたいのあるものに、うつかわるには、じつ容易よういならざる御苦心ごくしん
この上の手続てつづきくわしく記すまでもあるまい。権次が一旦上まで引返ひっかえして、一同にその始末を報告した上で、三個みつの亡骸は畚に乗せて順々に引揚ひきあげられた。第一は安行、第二は𤢖であった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さて、波越警部の現場調査、それからしばらくして来着した裁判所の一行の検視手続てつづきなどを細叙さいじょしていては、非常に退屈だから凡て省略して、ただ読者に告げて置かねばならぬ点丈けを、列記すると
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
人間界にんげんかいにてかんがえているような、所謂いわゆるというものはもちろんない。あれは物質ぶっしつ世界せかいのみにおこる、ひとつのうるさい手続てつづきなのじゃ。——が、竜神りゅうじんからだにもひとつの変化へんかおこるのは事実じじつである。