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怫然
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ふつぜん
ふりがな文庫
“
怫然
(
ふつぜん
)” の例文
藤三郎は
怫然
(
ふつぜん
)
として突っかかりました。元は武家の出だそうで、今はこんな事をしておりますが、妙に骨っぽいところのある男です。
銭形平次捕物控:009 人肌地蔵
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
やりそこなったら最後、まず
碌
(
ろく
)
なことはなく、やにわに
怫然
(
ふつぜん
)
と色をなして、ステッキで床をこつこつやりだすのが落ちである。
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
二葉亭もまたその一人で、一時は商業学校に学籍を転じたが、翌十九年一月、とうとう
辛抱
(
がまん
)
が仕切れないで
怫然
(
ふつぜん
)
袂
(
たもと
)
を払って退学してしまった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
彼は
怫然
(
ふつぜん
)
として孔子に喰って掛かる。「人臣の節、君の大事に当りては、ただ力の及ぶ所を尽くし、死して
而
(
しこう
)
して後に
已
(
や
)
む。夫子何ぞ彼を善しとする?」
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
そのうちに鞄は往来へ飛び出し、彼の眼界から失せた。そこで彼の心の中に
怫然
(
ふつぜん
)
と損得観念が勝利を占め、彼はゴム靴の海を一またぎで躍り越えて往来へ飛び出した。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
これを
聞
(
き
)
くや
否
(
いな
)
や、ラクダルは
手
(
て
)
に
持
(
もつ
)
て
居
(
ゐ
)
た
無花果
(
いちじく
)
を
力任
(
ちからま
)
かせに
投
(
な
)
げて
怫然
(
ふつぜん
)
と
親父
(
おやぢ
)
の
方
(
かた
)
に
振
(
ふ
)
り
向
(
む
)
き
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
その
語気
(
ごき
)
の人もなげなるが口惜しくて、われにもあらず
怫然
(
ふつぜん
)
として
憤
(
いきどお
)
りしが、なお彼らが想像せる
寃罪
(
えんざい
)
には心付くべくもあらずして、実に監獄は罪人を改心せしむるとよりは
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
只
(
ただ
)
他
(
ひと
)
の吾を吾と思わぬ時に於て
怫然
(
ふつぜん
)
として色を
作
(
な
)
す。任意に色を作し来れ。馬鹿野郎。……
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
折から夫人が
怫然
(
ふつぜん
)
と色を爲した私に
吃驚
(
びつくり
)
して、仲裁を頼みに酒屋の爺さんを呼びに行つて、小腰をかゞめてチヨコチヨコ遣つて來た爺さんが玄關を上るなり、Z・K氏は、爺さん/\
足相撲
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
登米
(
とよま
)
を過ぐる頃、女の
児
(
こ
)
餅
(
もち
)
をうりに来る。いくらぞと問えば三文と答う。三毛かと問えばはいと云い、三厘かといえばまたはいと云う。なおくどく問えば
怫然
(
ふつぜん
)
として、面ふくらかして去る。
突貫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
拝見の
博士
(
はかせ
)
の手前——
二
(
に
)
の
矢
(
や
)
まで
射損
(
いそん
)
じて、殿、
怫然
(
ふつぜん
)
とした
処
(
ところ
)
を、(やあ、
飛鳥
(
ひちょう
)
、
走獣
(
そうじゅう
)
こそ遊ばされい。
恁
(
かか
)
る
死的
(
しにまと
)
、殿には弓矢の
御恥辱
(
おんちじょく
)
。)と呼ばはつて、ばら/\と、散る
返咲
(
かえりざき
)
の桜とともに
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「まじめな話だよ」と捕手は
怫然
(
ふつぜん
)
としてとがめた、そうしてつづけた。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
斯
(
かく
)
も不規則なる
所夫
(
おっと
)
に仕え細君が
能
(
よ
)
く苦情を
鳴
(
なら
)
さぬと思えば余は益々
訝
(
いぶか
)
しさに
堪
(
た
)
えず、
終
(
つい
)
に帳番に
打向
(
うちむか
)
いて
打附
(
うちつけ
)
に問いたる所、目科の名前が余の口より離れ切るや切らぬうち帳番は
怫然
(
ふつぜん
)
と色を
作
(
な
)
し
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「いったいどこに何があるんだ」と床を蹴って、熊城は荒々しく
怫然
(
ふつぜん
)
と叫んだ。が、その時なにげなしに、真斎が後方の鋼鉄扉を振り向くと、そこには熊城の肩を、思わずも掴ませたものがあった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
然るにこの命令を聞くやスタチオ兄弟は
怫然
(
ふつぜん
)
色を
作
(
な
)
し、自国語を以て強弁し、極力反抗の気勢を示したるが、結局ハドルスキー氏の
諭示
(
ゆし
)
に服し、団員一同と共に警視庁に出頭の準備すべき旨を答え
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
自信の強かった太田は
怫然
(
ふつぜん
)
として
忿懣
(
ふんまん
)
に近いものすら感じた。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
怫然
(
ふつぜん
)
と、伝八郎が、問い詰めると
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ヘンデルは
怫然
(
ふつぜん
)
色をなして、「それは残念でした。私は皆さんを面白がらせるつもりでこの曲を書いたのではない。少しでも人の心を高めるために書いたのですが——」
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
そのときちょうど、
迦葉
(
かしょう
)
・
阿難
(
あなん
)
の二
尊者
(
そんじゃ
)
を連れた
釈迦牟尼如来
(
しゃかむににょらい
)
がそこを通りかかり、悟空の前に立ち
塞
(
ふさ
)
がって闘いを
停
(
と
)
めたもうた。悟空が
怫然
(
ふつぜん
)
として
喰
(
く
)
ってかかる。如来が笑いながら言う。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
季因是はこれを聴くと
怫然
(
ふつぜん
)
として奥へ入ってしまって久しく出て来なかった。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
愚直な林氏は
茲
(
ここ
)
に於て
怫然
(
ふつぜん
)
色を
作
(
な
)
した。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
八五郎は手に残る小判を汚いもののように叩き付けると、
怫然
(
ふつぜん
)
として
背
(
そびら
)
を見せました。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と哀願してみたら叔父は
怫然
(
ふつぜん
)
として
鉄鎚
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
八五郎は手に殘る小判を
汚
(
きたな
)
いもののやうに叩き付けると、
怫然
(
ふつぜん
)
として
背
(
そびら
)
を見せました。
銭形平次捕物控:099 お篠姉妹
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
又左衛門は
怫然
(
ふつぜん
)
として顔を挙げました。
銭形平次捕物控:041 三千両異変
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
怫
漢検1級
部首:⼼
8画
然
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
“怫”で始まる語句
怫