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御無理
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ごむり
若旦那、そいつァ
御無理でげすよ。おせんは
名代の
親孝行、
薬を
買いに
行ったといやァ、
嘘も
隠しもござんすまい。
薄情もの
義理しらずと
押くるめてのお
詞お
道理なれど
御無理なり
此身一つに
科があらば
打たれもせん
突かれもせん
膝ともといふ
談合相手に
遊ばしてよと
涙ながら
控へる
袂を
御新姐樣、
此の
上の
御無理は、
助けると
思召しまして、
其のお
歌を
一寸お
認め
下さいまし、お
使の
口上と
違ひまして、つい
馴れませぬ
事は
下根のものに
忘れがちにござります
御新造樣、
此の
上の
御無理は、
助けると
思召しまして、
其のお
歌を
一寸お
認め
下さいまし。
大屋樣地主樣いづれの
御無理も
御尤と
受ける
質なれば、
長吉と
喧嘩してこれこれの
亂暴に
逢ひましたと
訴へればとて、それは
何うも
仕方が
無い
大屋さんの
息子さんでは
無いか
嫁になどゝは
思ひも
寄らぬことなり
芳之助は
兎もあれ
我れ
許さずと
御立腹の
數々それいさゝかも
御無理ならねどお
前さまと
縁きれて
此世何の
樂しからずつらき
錦野がこともあり
所詮は
此命一つぞと
覺悟の
道も
同じやうに
行逢つてお
前さまのお
心伺へば
其通りとか
今更御違背のある
筈なし
私は
嬉しう
存じますを