布哇ハワイ)” の例文
私は明日あすの朝早く、船と一緒に浦塩うらじおを引き上げて布哇ハワイの方へ行かなければなりませぬ。そうして日本と戦争を始めなければなりませぬ。
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
博士は国文学者には珍しい気焔家だけに、布哇ハワイやカリフオルニヤでは日本人を集めて、国語教育について随分にくまれぐちを利いたものだ。
展墓者名簿てんぼしゃめいぼ一眄いちべんすると、ただに剣道家ばかりでなく、遠くは布哇ハワイ、朝鮮、満州などの居住者が見えるし、中でも私が目を止めたのは
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
米国べいこくの太平洋艦隊は、今や大西洋艦隊の廻航を待ちてこれに合せんとし、の主力艦は既に布哇ハワイパール湾に集結をりょうしたりとの報あり!」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ソレゆえ同行の人は妙な男だと云うくらいには思うて居たろう。れから布哇ハワイを出帆したその日に、船中の人に写真を出して見せた。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
森から上はのべつ幕なしの星月夜で、例の天の河が長瀬川を筋違すじかいに横切って末は——末は、そうですね、まず布哇ハワイの方へ流れています……
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
よもやと考えていた我らの杞憂きゆうはついに事実となって、わずかそれから十日の後船はいよいよ米国領海に近付かんとして、布哇ハワイ出航二日の後
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
布哇ハワイが見える。印度インド洋が見える。月光に洗われたベンガル湾が見える。現在眼の前の海なんてものはそれに比べたらラフな素材にしか過ぎない。
(新字新仮名) / 梶井基次郎(著)
万年筆を売るから万年屋、布哇ハワイ行を口にするから布哇、といったように皆渾名あだなを呼合っている。私は誰が呼ぶともなく書生さんと呼び慣らされた。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
渠らの資金を調達するために布哇ハワイの耕地の買手を捜したり、あるいは文芸上の連絡を目的とする日波協会の設立を計画したりして渠らのために種々奔走をした。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
莫迦ばかに若くみえるね。少くとも布哇ハワイあたりから帰って来た手品師くらいには踏めますぜ」木村は笑った。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
布哇ハワイや北米やその他へ出稼ぎしている彼地方の男女は、毎年尠からぬ額の金を郷里へ送って父母の慰安とし、弟妹の教育費に当てる者が多く、中には家倉を新築させ
激動の中を行く (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
布哇ハワイから帰って来たときであったか、それは今覚えておらぬ。何でも三橋から饅頭を沢山買って来て、わしらに食わした。その饅頭が随分多かったので今お記憶しておる。
鹿山庵居 (新字新仮名) / 鈴木大拙(著)
布哇ハワイのれいの後援者パトロンの漁場が大海嘯おおつなみにやられ、一夜にして彼自身も無一文になってしまった。不本意ながら、援助が出来なくなったといってきた。寝耳に水とは真にこのことだ。
黒い手帳 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「よし来た! 此奴こいつ布哇ハワイの臀振りダンスだ、みんな唄いながらけつを振るんだ!」
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
単に内地ばかりでなく、朝鮮、満洲、台湾、琉球は勿論、上海、香港、新嘉坡シンガポール、印度、布哇ハワイから桑港サンフランシスコ、シカゴ、紐育ニューヨークに至るまで、わが同胞の住むところには、総てみな読まれるのである。
雪の一日 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
同室のボウイの口から甲板デッキ部の下級員クルウが十七人、機関エンジン部が二十一人で、船はこれから一直線に南下して木曜島で海鳥糞を積み、布哇ハワイを廻って北米西海岸グレイス・ハアバアで角材を仕入れ
上海された男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
鉱山などに関する多くの利権を得て、亜米利加アメリカも、かねて東洋に進み出る時機をうかがっていたが、遂にその頃、布哇ハワイを得て、さらに長駆東洋侵略の歩をすすめて西班牙イスパニヤと戦い比律賓フィリッピンを取り
惜別 (新字新仮名) / 太宰治(著)
(日夜船窓から布哇ハワイを望めば、海と空との連なるところに浪は果てしなく、家郷からの手紙もまだ届かぬうちに、年ははや暮れようとする。ならばよし、東風に託して旅人の感懐を伝えよう。)
南半球五万哩 (新字新仮名) / 井上円了(著)
更に布哇ハワイへ移住し、児童に日本語を教える学校の教師となった。
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
この憐れな石油乞食と化しつつある日本民族の状態を布哇ハワイ比律賓ヒリッピンに居る米国の太平洋艦隊が如何にせせら笑っておりました事か。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
米国の太平洋、大西洋両艦隊は、圧倒的な大航空軍を、航空母艦に積みこんで、今や、舳艫相含じくろあいふくんで、布哇ハワイを出航し、我が領海に近づきつつある。
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
布哇寄港祝砲と共に目出度めでたく桑港サンフランシスコを出帆して、今度は布哇ハワイ寄港とまり、水夫は二、三人亜米利加アメリカから連れて来たけれども、甲比丹カピタンブルックはらず、本当の日本人ばかりで
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
それは布哇ハワイの大漁場主で赤の他人なのだが、二人の勉強ぶりに感激して義侠的に三年の巴里遊学の費用をひきうけてくれ、いまここで勉強しているのはこのひとの後援によるものだといった。
黒い手帳 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「どっかへフッ飛んじゃったい。船長おやじ晩香坡バンクーバからさけかにを積んで桑港シスコから布哇ハワイへ廻わって帰るんだってニコニコしてるぜ」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
布哇ハワイから、ミッドウェーの東方沖合おきあいを、北西に進んでいた筈だから今日になって、進路を真西に向けたとなると……」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
と云うのは私が西洋を信ずるのねんが骨に徹して居たものと見えて、一寸ちょいとも怖いとおもったことがない。れから途中で水が乏しくなったので布哇ハワイに寄るか寄らぬかとう説がおこった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
米本土と布哇ハワイには三十万の抑留者がいて、国際赤十字の庇護を受けている。
ノア (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「惜しいもんだなあ……ホントニ……おやじせえウンと云えあ、布哇ハワイへ着くまで散々さんざっぱら蹴たおせるのになア」
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
布哇ハワイ島からいえば、丁度真南に当り、緯度で四十度ばかり南方にあたる。
地球要塞 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「馬鹿野郎。布哇ハワイクンダリまで持って行けるか。万一見つかって世界中の新聞に出たらどうする」
支那米の袋 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
布哇ハワイでクリスマスだよオオ——だ……」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)