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尖塔
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せんとう
ふりがな文庫
“
尖塔
(
せんとう
)” の例文
こおろぎや
蜘蛛
(
くも
)
や
蟻
(
あり
)
やその他名も知らない
昆虫
(
こんちゅう
)
の繁華な都が、虫の目から見たら天を摩するような緑色の
尖塔
(
せんとう
)
の林の下に発展していた。
芝刈り
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
俺だちはその
尖塔
(
せんとう
)
を窓から覗きあげた。頂きの近いところに、少し残っている足場が青い澄んだ冬の空に、
輪郭
(
りんかく
)
をハッキリ見せていた。
独房
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
深い樹立のなかには教会の
尖塔
(
せんとう
)
が
聳
(
そび
)
えていたり、外国の公使館の旗がヴィラ風な屋根の上にひるがえっていたりするのが見えた。
ある崖上の感情
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
寺院の崩れかかった
廃墟
(
はいきょ
)
には
蔦
(
つた
)
がはいまわり、村の教会の
尖塔
(
せんとう
)
は、近くの丘の上にぬきでている。どれもこれも、いかにもイギリスらしい。
船旅
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
地震、と欄干につかまって、目を返す、森を隔てて、
煉瓦
(
れんが
)
の
建
(
たて
)
もの、教会らしい
尖塔
(
せんとう
)
の雲端に、稲妻が蛇のように縦にはしる。
木の子説法
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
マルセーユの石山のノートルダム寺院の
尖塔
(
せんとう
)
の黄金像にもまして、自分は、日本女優花子の美は自分にとって尊いなどと、お世辞を
仰有
(
おっしゃ
)
るのです。
バルザックの寝巻姿
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
斜
(
なな
)
め下には、教会堂の
尖塔
(
せんとう
)
も
鋭
(
するど
)
く、空に、つき
刺
(
さ
)
さって、この通俗的な
抒情画
(
じょじょうが
)
を、
更
(
さら
)
に、
完璧
(
かんぺき
)
なものにしていました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
今しがたまで見ていたのにもうどうしてもそれを何時見たのだか思い出せない何処かの教会の
尖塔
(
せんとう
)
だったり、明の何かをじっと堪えているような様子だったり
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
セーヌ河を
距
(
へだ
)
ててノートルダムの
尖塔
(
せんとう
)
の見える
鴨
(
かも
)
料理のツールダルジャン等一流の料理屋から
異国食餌抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
組子細工のゴシック風の
尖塔
(
せんとう
)
がそのなかに包まれて眠っているほの暗い大気の静寂をやぶって、一時間ごとにふいに
陰鬱
(
いんうつ
)
な音をたてて響きわたる教会の
鐘
(
ベル
)
の深い鈍い音色に
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
もう村も見えなくなり、教会の
尖塔
(
せんとう
)
も山のかげにかくれてしまった。そして山木と河合の乗っている奇妙な自動車は、黄い路面を北へ北へととって、順調に走っているのだった。
火星探険
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
微風にうなずくたびに匂う
肉桂
(
にっけい
)
園、ゆらゆらと
陽炎
(
かげろう
)
している
聖
(
セント
)
ジョセフ大学の
尖塔
(
せんとう
)
、キャフェ・バンダラウェラの白と青のだんだら日よけ、料理場を通して
象眼
(
ぞうがん
)
のように見える裏の奴隷湖
ヤトラカン・サミ博士の椅子
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
列車の窓が次々に送り迎える
巍然
(
ぎぜん
)
たる
街衢
(
がいく
)
、その街衢と街衢との切れ目毎にちらつく議事堂の
尖塔
(
せんとう
)
を遠望すると、今更に九年の歳月と云うものの長さ、———その間には帝都の
変貌
(
へんぼう
)
のみならず
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「産業塔」をとり囲んでいた数千の群集は、その時、探照燈の
白光
(
びゃっこう
)
の中に、白い
蜃気楼
(
しんきろう
)
の様に浮び上った
尖塔
(
せんとう
)
上の、非常に印象的な、美しくも奇怪なる光景を、長い後まで忘れることが出来なかった。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
町から二里隔たってるその邸宅には、光ってる石盤屋根の
尖塔
(
せんとう
)
がそびえ、まわりに大きな森があり、森の中には魚を放った池が散在していた。そのボニヴェー家からジャンナン家へ懇親を求めてきた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
また教会外に
立
(
たっ
)
て局外よりこれを見る時は今日までは神意の教導によりて歩む仁人君子の集合体と思いしものもまたその内に
猜疑
(
せいぎ
)
、偽善、
佞奸
(
ねいかん
)
の存するなきにあらざるを知れり、
尖塔
(
せんとう
)
天を指して高く
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
やっとドウスゴイの寺院の
尖塔
(
せんとう
)
が見える処まで来ました。
死後の恋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
私の詩は
尖塔
(
せんとう
)
にひつかゝつた
小熊秀雄全集-05:詩集(4)小熊秀雄詩集2
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
教会の高いゴシック式の
尖塔
(
せんとう
)
はこの木のうえにすっくりと
聳
(
そび
)
えたち、いつも
深山烏
(
みやまがらす
)
や烏がそのあたりを舞っていた。
寡婦とその子
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
その美しい
尖塔
(
せんとう
)
を眺め、見入り、そして自分の心の充たされてくるまでそれに愛撫せられていた……
木の十字架
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
いまは、運命に任せて目を
瞑
(
つむ
)
ると、
偶
(
ふ
)
と風も身も動かなく成つた。我に返ると、
鷲
(
わし
)
は
大
(
おおい
)
なる
樹
(
き
)
の
梢
(
こずえ
)
に翼を休めて居る。が、山の峰の
頂
(
いただき
)
に、さながら
尖塔
(
せんとう
)
の立てる如き、雲を
貫
(
つらぬ
)
いた
巨木
(
きょぼく
)
である。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
何ともないような橋なのだが、しきりに私達の心は
牽
(
ひ
)
かれる。向う岸の橋詰に
榕樹
(
ガジマル
)
の茂みが青々として、それから白い
尖塔
(
せんとう
)
が
抽
(
ぬき
)
んでている背景が、橋を薄肉彫のように浮き出さすためであろうか。
河明り
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
拱廊
(
きょうろう
)
のあいだから見あげると、青い空がわずかに見え、雲が一片流れていた。そして、寺院の
尖塔
(
せんとう
)
が太陽に輝いて
蒼天
(
そうてん
)
に
屹立
(
きつりつ
)
しているのが眼にうつった。
ウェストミンスター寺院
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
納屋の
尖塔
(
せんとう
)
のいただきで、勇敢に風と戦っているさまを見ているのだった。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
“尖塔”の意味
《名詞》
尖塔(せんとう)
屋根の頂上が尖って高く突き出た建造物。
(出典:Wiktionary)
尖
漢検準1級
部首:⼩
6画
塔
常用漢字
中学
部首:⼟
12画
“尖”で始まる語句
尖
尖端
尖鋭
尖頭
尖端的
尖々
尖頂
尖先
尖兵
尖角