小屋ごや)” の例文
それからは、まいばん、くらくなりますと、ノロ公はじぶんのいつもの寝場所ねばしょをぬけだして、あき小屋ごやへいくことにしているのでした。
すずめは、一銭銅貨いっせんどうかをくわえて、おおいそぎで水車すいしゃ小屋ごやの方へとんでいきました。このすずめは水車小屋ののきばにすんでいたのでありました。
落とした一銭銅貨 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ですから教室はあの水車小屋ごやみたいな古臭ふるくさ寒天かんてんのような教室でした。みんなは胆取きもとりと巡査じゅんさにわかれてあばれています。
みじかい木ぺん (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
これは陸地測量隊りくちそくりょうたいがかけていった小屋で、もちろん無人のときの方が多い。その小屋ごやに三人ははいって、その夜はここで一泊することにした。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ところもあろうに、こんな馬糧まぐさだらけな馬糧小屋ごやのなかで、いきなりぶつかりあおうとは、両童子りょうどうじ、どっちもゆめにも思わなかッたことにちがいない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから、むすこはヤギのつなをつかんで、ヤギ小屋ごやのなかへつれていき、そこにしっかりとつなぎました。
はしらまる材木もくざいをそのまゝ、あるひはかはをむいてもちひ、はしらしたにはいしずゑもない、掘立ほつた小屋ごやといふふうなものであつたので、今日こんにちそのあとはなにものこつてをりません。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
さあそれが評判ひょうばんになりまして、「甚兵衛の人形は生人形いきにんぎょう」といいはやされ、町の人たちはもちろんのこと、とおくの人まで、甚兵衛の人形小屋ごや見物けんぶつまいりました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
夜になってわたしたちがきたない宿屋やどやかまたは物置ものお小屋ごやにつかれきってたどり着くと、もうはだまで水がしみ通って、わたしたちはとても笑顔えがおをうかべてねむる元気はなかった。
出入ではいりにね。日本の芝居小屋ごやは下足があるから、天気のい時ですら大変な不便だ。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そのあくる朝早く、まだひがしがやっとしらみかけたころ、新吉しんきちは、しもふりの夏服にくつをはき、むぎわらぼうをかむり、ふろしきづつみ一つを持って、一年間あまり住みなれたテント小屋ごやをぬけ出しました。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
仕立屋さんはむすこのいうことを信用しんようしないで、じぶんでヤギ小屋ごやにおりていって、たずねてみました。
四天王寺の日除地ひよけち、この間までの桃畑が、掛け小屋ごや御免ごめんで、道頓堀どうとんぼりすくってきたような雑閙ざっとうだ。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
村で戸を開けているうちはなくって、どこもしんとしずまり返っていた。なにしろ寒気がひどいので、人間はのすみにちぢかまっているか、牛小屋や物置ものお小屋ごやでこそこそ仕事をしていた。
といって、そのまま水車すいしゃ小屋ごやにかえりました。
落とした一銭銅貨 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
それから、むすこはヤギを家へひっぱっていって、ヤギ小屋ごやのなかにいれて、しっかりつなぎました。
獄門番ごくもんばんるむしろ小屋ごやから、ぎんむちをたずさえた黒衣こくい伴天連バテレンひょうのごとくおどりだして
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ぐさ小屋ごやの中の高いびきは、さだめし心地ここちよい熟睡うまいにおちているだろう。お長屋ながやもみんなえて、卜斎ぼくさいの家のなかも、あるじのこえなく、きゃくわらいもたえて、シンとしてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おれはおまえをつったろう。だから、おまえになにかたのめばよかったと、女房にょうぼのやつがいうんだよ。あれはもうぼろ小屋ごやに住むのはいやで、小さなうちが一けんほしいんだそうだ。」
でも、灰かぶりは王子のそばをうまくすりぬけて、ハト小屋ごやにとびこみました。
王子がそとでっていますと、やがて、灰かぶりのおとうさんがでてきました。そこで、王子はおとうさんに、いまよそのむすめがこのハト小屋ごやにとびこんだ、と、おしえてやりました。
「おかえりなさい。おかみさんは、もとのぼろ小屋ごやのなかにいますよ。」