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孝行
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かう/\
お
峯は三
之助を
抱きしめて、さてもさても
世間に
無類の
孝行、
大がらとても
八歳は
八歳、
天秤肩にして
痛みはせぬか、
足に
草鞋くひは
出來ぬかや、
堪忍して
下され
何ごとぞ
飽くまで
優しき
孝行のこヽろに
似す、
父君母君が
苦勞の
種の
嫁いりの
相談かけ
給ふごとに、
我まヽながら
私し
一生ひとり
住みの
願ひあり、
仰せに
背くは
罪ふかけれど
よ、お
前が
此樣な
病氣になつてから、お
父樣もお
母樣も
一晩もゆるりとお
眠になつた
事はない、お
疲れなされてお
痩せなされて
介抱して
居て
下さるのを
孝行のお
前に
何故わからない
又馬鹿なことを
云ふよそんな
弱い
気だから
病気がいつまでも
癒りやアしない
君が
心細ひ
事を
云つて
見たまへ
御父さんやお
母さんがどんなに
心配するか
知れません
孝行な
君にも
似合はない。
表の
鹽物やが
野郎と一
處に、
蜆を
買ひ
出しては
足の
及ぶだけ
擔ぎ
廻り、
野郎が八
錢うれば十
錢の
商ひは
必らずある、一つは
天道さまが
奴の
孝行を
見徹してか、
兎なり
角なり
藥代は三が
働き