さは)” の例文
天つ神の御子、こよ奧つ方にな入りたまひそ。荒ぶる神いとさはにあり。今天より八咫烏やたがらすつかはさむ。かれその八咫烏導きなむ。
天離る 鄙に名かかす 越の中 国内ことごと 山はしも しゞにあれども 川はしも さはに逝けども 皇神の 主宰き坐す 新河の その立山に 云々。
山の今昔 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
それがつひどくにてひたるなれど、こゝろはらば二とははじ、そなたすてられてなにとしてかにはつべき、こゝろおさなければにあまることもらん、腹立はらたゝしきこともさはならんが
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
山門やまとはもうまし耶馬台やまと、いにしへの卑弥乎ひみこが国、水清く、野の広らを、稲ゆたに酒をかもして、菜はさはに油しぼりて、さちはふや潟の貢と、うづの貝・ま珠・照るはた。見さくるやわらべが眉に、霞引く女山ぞやま・清水。
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
かの粗忽者こそいとさはなれ。
そぞろごと (旧字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
家どころ さはに見え
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
さはくささはにふむ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
曾婆訶里答へて白さく「命のまにま」と白しき。ここにその隼人に物さはに賜ひてのりたまはく、「然らば汝の王をりまつれ」とのりたまひき。
夕凪はいきるる草を墓所はかどには人さは来居きをり我が泣かむ見に
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「思ふに利根はトガリたる嶺さはなれば利嶺トキネの郡なるべし」
利根川水源地の山々 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
家どころ さはに見え
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
ここにその矢を持ちて奉りし時に、家に率て入りて、八田間やたまの大室一一に喚び入れて、そのかしらしらみを取らしめたまひき。かれその頭を見れば、呉公むかでさはにあり。
深大寺じんだいじさはならし我が聴くに早や涼しかる滝の音ひびく
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
しも さはに逝けども 皇神の 主宰うしはき坐す 新河の その立山に 常夏に 雪降り敷きて 帯ばせる 可多加比河の 清き瀬に 朝夕ごとに 立つ霧の 思ひ過ぎめや 在り通ひ いや毎年としのはに 外のみも ふり放け見つゝ 万代の 語ひ草と 未だ見ぬ 人にも告げむ 音のみも 名のみも聞きて ともしぶるがね
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
さはに老木の梅の明れるは盛りみじかくなりにたるらし
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
さはに瘤ある駱駝膝は折りいづ方となき上眼うはめしてあはれ
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
木高きはうつつあらぬか玉蘭はくれんの花さはにしてむしろかすけき
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
君が丘遊ぶ童のさはならば童ヶ丘と名づけたらなむ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ひもろぎ香取の山は鷺さはに梢とよめりさやの明りを
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)