まじなひ)” の例文
だいなやますやまひまぼろしでございます。たゞ清淨しやうじやうみづこの受糧器じゆりやうきに一ぱいあればよろしい。まじなひなほしてしんぜます。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
牛をも大切にする風があつて、その角を絵具で染め又は金属でおほうて居るのを見受けた。又牛のふんを幸福のまじなひに額へ塗つて居るヒンヅ人にも沢山たくさん出会つた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
その他にも色々の癖があり、先生の手紙を投函する時には、それが紛失してしまひはしないかと怖れ、入れたあとでおまじなひのやうに三度も函の周囲をまはるといふ風であつた。
亡鏡花君を語る (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
その牛肉屋の牛が馬肉かも知れないといふ嫌疑がある。学生は皿に盛つた肉を手攫てづかみにして、座敷のかべたゝき付ける。落ちれば牛肉で、貼付ひつつけば馬肉だといふ。丸でまじなひ見た様な事をしてゐた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
心配しないでまじなひでもして待つが宜いさと慰めるやうな朋輩の口振、力ちやんと違つて私しには技倆うでが無いからね、一人でも逃しては殘念さ、私しのやうな運の惡るい者には呪も何も聞きはしない
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「ではまじなひですかな。」
酒虫 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
「はあまじなひをなさるのか。」かうつてすこかんがへたが「仔細しさいあるまい、一つまじなつてください」とつた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
心配しないでまじなひでもして待つがいさと慰めるやうな朋輩ほうばい口振くちぶりりきちやんと違つてわたしには技倆うでが無いからね、一人でも逃しては残念さ、私しのやうな運の悪るい者には呪も何も聞きはしない
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いま乞食坊主こじきばうずたのになつたのは、なんとなくえらさうにえる坊主ばうず態度たいどしんおこしたのと、みず一ぱいでするまじなひなら間違まちがつたところ危險きけんこともあるまいとおもつたのとのためである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
心配しんぱいしないでまじなひでもしてつがいさとなぐさめるやうな朋輩ほうばい口振くちぶりりきちやんとちがつてわたしには技倆うでいからね、一人ひとりでもにがしては殘念ざんねんさ、わたしのやうなうんるいものにはまじなひなにきはしない
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)