合掌がつしやう)” の例文
此時このとき堂上だうじやうそう一齊いつせい合掌がつしやうして、夢窓國師むさうこくし遺誡ゐかいじゆはじめた。おもひ/\にせきつた宗助そうすけ前後ぜんごにゐる居士こじみな同音どうおん調子てうしあはせた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
刀の儀難有御厚禮申上候。何卒便宜べんぎを以て御遣し被下度奉合掌がつしやう候。かけ重疊かさね/″\自由の儀申上不都合千萬に御座候得共、御仁宥可下候。
遺牘 (旧字旧仮名) / 西郷隆盛(著)
因果いんぐわふくめしなさけことばさても六三ろくさ露顯ろけんあかつきは、くびさしべて合掌がつしやう覺悟かくごなりしを、ものやはらかにかも御主君ごしゆくんが、げるぞ六三ろくさやしき立退たちのいてれ、れもあくまで可愛かあゆ其方そち
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
畳や障子を思ひ出させるなつかしさで、なだらかな肩や、肌のあをく澄んだ首筋に、同族のよしみを感じ合掌がつしやうしたくなつてゐた。少々額の広いのも、女中のニウよりは数等見ばえがした。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
太古たいこ日本家屋にほんかおくは、匠家せうかのいはゆる天地根元宮造てんちこんげんみやづくりしやうするもので無造作むざうさごろの合掌がつしやうしばつたのを地上ちじやうてならべ棟木むなぎもつてそのいたゞきわたし、くさもつ測面そくめんおほうたものであつた。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
瀧口ころもの袖を打はらひ、墓に向つて合掌がつしやうして言へらく
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
合掌がつしやうの姿をまねぶ。
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
軍勢みな合掌がつしやうして
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ひるには、宜道ぎだうからはなしのあつた居士こじつた。この居士こじ茶碗ちやわんして、宜道ぎだうめしよそつてもらふとき、はゞかりさまともなんともはずに、たゞ合掌がつしやうしてれいべたり、相圖あひづをしたりした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)