其處等そこら)” の例文
新字:其処等
其處等そこらにある家具を片端かたつぱしから打壞ぶちこはすか、誰れかを打つか蹴るかしたなら、いくらか頭が輕くなりはしないかと思はれた。
仮面 (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
閑話休題それはとにかく母子ふたり其處等そこらあるくと、いまつた、のお帳場ちやうばが、はしむかうの横町よこちやう一個ひとつあつた。無論むろん古道具屋ふるだうぐやなんです。
廓そだち (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ピイロロロロピイーとしよんぼりとく。トトトン、トトトン、とゆるく、其處等そこら藝妓屋げいしややで、朝稽古あさげいこ太鼓たいこおと、ともになんとなくみどりしたゝやまひゞく。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
東京とうきやうて、京都きやうと藝妓げいこに、石山寺いしやまでらほたるおくられて、其處等そこら露草つゆぐささがして歩行あるいて、朝晩あさばん井戸ゐどみづきりくと了簡れうけんだとちがふんです……矢張やつぱ故郷ふるさとことわすれた所爲せゐ
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
顏中かほぢうをのこらずはなにして、まぶしさうにしかめて、「今朝けさツからんでますわ。」とつた。べつめづらしくもなささうにたゞついとほりに、其處等そこらる、二三疋にさんびきだとおもふのであらう。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
もう、其處等そこら如才じよさいはござりません、とお手代てだい。こゝで荷鞍にぐらへ、銀袋ぎんたい人參にんじん大包おほづつみ振分ふりわけに、少年せうねんがゆたりとり、手代てだいは、裾短すそみじか羽織はおりひもをしやんとかまへて、空高そらたか長安ちやうあん大都だいとく。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)