其折そのをり)” の例文
「おやそうさん、少時しばらく御目おめゝらないうちに、大變たいへん御老おふけなすつたこと」といふ一句いつくであつた。御米およね其折そのをりはじめて叔父をぢ夫婦ふうふ紹介せうかいされた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
書生しよせい千葉ちばいとゞしうおそりて、これはうも、これはとかしらげるばかり、故郷こきやうりしときあねなるひとはゝかはりて可愛かわゆがりてれたりし、其折そのをり其頃そのころありさまをおもおこして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其折そのをり喜悦よろこびいま悲痛かなしみ千萬倍せんまんばいであらうぞよ。
彼女かのぢよは三度目どめ胎兒たいじうしなつたときをつとから其折そのをり模樣もやういて、如何いかにも自分じぶん殘酷ざんこくはゝであるかのごとかんじた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まりなげ、なわとびのあそびにきやうをそへてながるゝをわすれし、其折そのをりこととや、信如しんによいかにしたるか平常へいぜい沈着おちつきず、いけのほとりのにつまづきて赤土道あかつちみちをつきたれば
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ながれて法衣ころも煑染にじましたといふ大燈國師だいとうこくしはなし其折そのをり宜道ぎだうからいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)