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倖
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しあわ
ふりがな文庫
“
倖
(
しあわ
)” の例文
自分にすぎた筒井であっただけ
眩
(
まば
)
ゆいばかりの妻を得ていることが、どういう
倖
(
しあわ
)
せにも増して底の深い倖せであったことであろう。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「御同様に、ざまはない。だが女嫌いの御辺が持つより、やはり花は風流なあるじの室がいいかもしれぬ。花も
倖
(
しあわ
)
せにちがいない」
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
世の中の美しいこと、嬉しいこと、
倖
(
しあわ
)
せなこと、そういうものを何一つ信じたことのない叔父さんが姉さんに対して讃美を惜しまないというのは。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
「有難い
倖
(
しあわ
)
せでござります。お退屈でござりましょうが、ハネるまでこの楽屋ででも御待ち下さりませ」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
詩を書いていたところで、一生うだつがあがらないし、第一飢えて
干乾
(
ひぼ
)
しになるより仕方がない。私が、栗島澄子ほどの美人であるならば、もっと
倖
(
しあわ
)
せな生き方もあったであろう……。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
女房のカツレツを満足して食べ、安眠して、死んでしまう方が
倖
(
しあわ
)
せだ。
青春論
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
「そう運べば、この上の
倖
(
しあわ
)
せはない」
無惨やな
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
お通さんにも、このまま会わぬ方が、行く末になってみれば、あの人の
倖
(
しあわ
)
せになり、武蔵の気持も、その時には、よく分ってくる筈だ。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小豆があったからには我らは永く
倖
(
しあわ
)
せになるだろうと男がいえば、女はお手玉の五枚のきれを
叮重
(
ていちよう
)
にたたんで、そしてあやまるようにいった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
とるに足らないと思っていた自分の妹風情の恋の
倖
(
しあわ
)
せが、天下将軍じきじきのお裁きで、
執拗
(
しつよう
)
な邪悪の手から救われたことのよろこびが、頑丈なその胸をくい破ったのです。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
そうじゃないンだ。あンたは
倖
(
しあわ
)
せな人だって云うンだよ。男の仕事って辛いもンだから、つい、そンな事を云ったのさ。いまの世は、あだやおろそかには暮せない。
喰
(
く
)
うか喰われるかだ。
晩菊
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
きっと
倖
(
しあわ
)
せになりますよ。
女の一生
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
しかるとせば、不肖ながら、佐々木小次郎も、久しく伝家の
物干竿
(
ものほしざお
)
に生血の
磨
(
と
)
ぎを怠っていたところで——
勿怪
(
もっけ
)
の
倖
(
しあわ
)
せといいたいのだ。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あなたさまは
本統
(
ほんとう
)
にお健やかでおわすのでしょうか、それならそれ以上の
倖
(
しあわ
)
せはないとしても、ひょっとしたらお健やかでないのではないでしょうか
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
いのちがあるだけ
倖
(
しあわ
)
せじゃ。早う飛んで帰って腰本治右にしかじかかくかくとあることないこと
搗
(
つ
)
きまぜて申し伝えい。アッハハ。……ずんと涼しゅうなった。梅甫夫婦また来てやるぞ。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「ほかじゃねえが、お前が
懇意
(
こんい
)
なのは何より
倖
(
しあわ
)
せ。旅川周馬のやつを
欺
(
だま
)
して、お千絵様をこの屋敷から誘い出してくれねえか」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「滅、滅、滅相もござりませぬ。ははっ……、なんともはや、ははっ……、不、不調法にござりました。何とぞお目こぼし給わりますれば、島津修理、身の
倖
(
しあわ
)
せにござります。ははっ、こ、この通りにござります」
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「でも、又太郎さま。あなたのお眼で見た私の姿をそのまま、どうぞ母へおつたえ下さいまし。覚一は、このように
倖
(
しあわ
)
せでおりますことも」
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
反対に、魏にとっては、この小さな一機智が、実に大きな
倖
(
しあわ
)
せだったといえる。もしこの時、廖化が仲達の機智を見破って
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
女
掏摸
(
すり
)
という兇状をもった姉は、あの
妹弟
(
きょうだい
)
たちにもない方がいい。ただ、どうぞ、
倖
(
しあわ
)
せであっておくれ、いい
芽
(
め
)
をまッすぐに育っておくれ……。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
きょうはお供をいたしながら、諸所一見できるのも、時あっての
倖
(
しあわ
)
せとぞんじまして、後をお慕いして来ました。源右どの、さあお先へお立ちなさい
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……いずれは、勝家、一益などがくどくど申すであろうが、お許の
耄碌
(
もうろく
)
こそ
倖
(
しあわ
)
せ、耳の遠い顔して、何事も聞きながし、そのまま関へ立ち帰るがよい
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そんなことがあるものかね。たとえ、お
施米
(
せまい
)
小屋のような中へ、
藁
(
わら
)
をかぶって寝ればとて、みんなで一緒に暮らしているほど、
倖
(
しあわ
)
せなことはないんだよ」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……どうですえ、兵隊さん、おめえっちは、まだ、お旗箱とかを、仕舞い
失
(
な
)
くしたという罪が分かって死ぬんだから、よっぽど、俺から見れやあ
倖
(
しあわ
)
せだぜ。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
一切
(
いっさい
)
の
理由
(
わけ
)
が、そこで、分ったよ。……お通さん、あのことは、むしろ其女にとっては
倖
(
しあわ
)
せじゃないか」
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「玄蕃は早や
恃
(
たの
)
むに足らぬ。この上は、勝家みずからここに踏みとどまり、存分の一合戦してみしょうぞ。うろたえな、
躁
(
さわ
)
ぐな、筑州、これに来らば、むしろ
倖
(
しあわ
)
せ」
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藤吉郎は、家康の
倖
(
しあわ
)
せを
羨望
(
せんぼう
)
したが、素直に
退
(
さが
)
って、自分の人数を、総軍第四番手に備え立てた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
思うお人に向っては、女は、怖ろしいほど
細
(
こまか
)
い心を配っております。けれど、義理の妹の恋を奪って、それで、私ひとりが
倖
(
しあわ
)
せになろうなどとは夢にも思やしませんの。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……なあお通、世間を狭くしてまで、無理に武蔵と添ってみたって、
倖
(
しあわ
)
せに暮せるはずはないぜ。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
むしろ、嫁いでまもないうちに、良人と共に、良人の
信行
(
しんぎょう
)
の道へ、こうして、忍苦をひとつにすることができた身を、
倖
(
しあわ
)
せとも、妻の大きな欣びとも、思うのであった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あれほどな父を持ち、これほどな恩師を持ち、そちはよほど
倖
(
しあわ
)
せ者だ。さだめし行末よい
武勲
(
ぶくん
)
を持つだろう。重治に
従
(
つ
)
いて中国へ
征
(
ゆ
)
け。信長がその
初陣
(
ういじん
)
を祝うてとらせる」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こののどかな
社頭
(
しゃとう
)
で、娘を連れた母、孫を
伴
(
ともな
)
う老人、幼い者をよろこばしている年上の者などを見ると、やはり、家をもつ人、愛の持ちあえる人たちは、いいなあ、
倖
(
しあわ
)
せだなあ
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
鳥なき里の
蝙蝠
(
こうもり
)
とかで、自分以上な者はないと、何ともかとも、手のつけられん
小伜
(
こせがれ
)
じゃ。ひとつその
増上慢
(
ぞうじょうまん
)
の鼻を、折ッぴしょッてくだされば、いっそ、当人には
倖
(
しあわ
)
せというもんじゃろ
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ
倖
(
しあわ
)
せなことには、秋の月がまんまると空にある。啼きすだく虫の音がある。こんな夜にお通は笛をふくのが好きだったと思う。……虫の音が皆、お通の声、城太郎の声に聞えてくる。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
景時の人物がまともだったら、相互の
倖
(
しあわ
)
せだったろうが、武あり智あり弁舌ありという傑物で、大日本史の語をかりていえば、
狡獪
(
こうかい
)
にして陰険、しかも和歌を
嗜
(
たしな
)
むという複雑な才人である。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ははあ、そんなことですか。もし戦陣なら親の
屍
(
かばね
)
をふみ越えてさえ戦うのが武門のつね。たたみの上でみまかった父の
死水
(
しにみず
)
を取って、征途にのぼれるなどは、まだ
倖
(
しあわ
)
せではございませぬか」
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それをわざわざこの岐阜までお越し下されたことは、何たる
倖
(
しあわ
)
せかわからん。きょう町の辻にて、御辺の
家人
(
けにん
)
からご書面をいただいた折、ひょっと同姓異人ではないかと怪しんだほどでござった。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「御帰陣の後、御一読を得ますれば、ありがたい
倖
(
しあわ
)
せにぞんじまする」
新書太閤記:10 第十分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いや何。あの子供は仔細あってわしが以前に見かけたことのある者。来合せたのが
倖
(
しあわ
)
せであった。それよりは、どうして当家の厄介になっておるか、それはまだ伊織からも聞いてはおらぬが……」
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そして何かの時は、お力になっていただければ
倖
(
しあわ
)
せというもの
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「オ、四郎。お
汝
(
こと
)
は心の眼がさめたの。何という
倖
(
しあわ
)
せな男ぞ」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
斉王は廉直な臣をもって
倖
(
しあわ
)
せであると感心させたとかいう。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それは、何とも
倖
(
しあわ
)
せでした。他の服役者にくらべれば」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いい
跡継
(
あとつぎ
)
じゃ、半蔵殿も、お
倖
(
しあわ
)
せなこッちゃで」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もって
倖
(
しあわ
)
せだと、母に欣んでもらいたいと思う
日本名婦伝:太閤夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「お袖がほんとに
倖
(
しあわ
)
せになるのでなければ、切れ状は書けません。
因
(
もと
)
はといえば、罪はまったく、この市十郎にあることで、水茶屋奉公はしていましたが、それまでの、お袖は、真白い絹のような
処女
(
おとめ
)
だったのですから」
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「立身しても、やっと百石、百石とっても、食えるだけだ。二本差して、威張ったところで、百石侍は、
蛆
(
うじ
)
ほどいるし、このごろ、世間も侍は
流行
(
はや
)
らない。——
後継
(
あとつ
)
ぎは、弟が適任、お照も、里へ帰った方が
倖
(
しあわ
)
せだ……」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「でも気がつかなかったから
倖
(
しあわ
)
せさ」
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「わしは
倖
(
しあわ
)
せ者よ」
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
倖
(
しあわ
)
せになれよ。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
倖
漢検準1級
部首:⼈
10画
“倖”を含む語句
僥倖
薄倖
不倖
射倖的
射倖心
僥倖児
薄倖兒
一薄倖児
薄倖児
恩倖
射倖
大倖
僥倖者
僥倖当
僥倖党
倖者
倖寵
倖僥
倖倖